インターネット&業界・よもやま話
<人よりチョット、インターネットを始めるのが早かったモノでネット関連等、いろいろ書かせて頂いてます。文責:古林伸美>

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2003年3月号

35.湯原温泉が日本一?
     「数字遊び」

新聞を読んでいたら「温泉ソムリエ」と言う言葉が目にとまった。新潟県「赤倉温泉」の取り組みが紹介されていた。旅館の若手経営者らが自分たちの町の歴史や温泉健康法を学び地域の魅力を語る事の知識に磨きを掛けるという試みの様だ。実に素晴らしい試みだと思う。昨年十一月に福島県で行われた「健康と温泉フォーラム」にも参加したが事例でお聞きした「いわき湯本温泉」の「バルネオセラピスト(温泉療法士)」と通じる事業の様だ。いわき湯本に習い湯原でも「温泉セラピスト」の養成を始める予定だがカリキュラムの中にどうしても地域の温泉史を入れたいと思っていた。古くからの温泉ならその過程に湯治場としての歴史もあり、そこには独特の入浴法も伝えられている。先人の知恵から学ぶ事も多いはず。赤倉の取り組みも是非、参考にさせて頂きたい。ところでこの赤倉温泉の紹介の中で「セ氏五十一度、噴出量三千リットル/毎分、宿泊施設数百四軒、年間宿泊者数百二十一万人」とあり、「随分と立派な温泉地なのだなぁー」と我が温泉町と比べてみた。そこでフト横にあった計算機で遊んでしまった。「年間百二十一万人なら一日当たり約三千三百人だ・・フムフム。これが湯原なら毎日、超満状態、さぞ賑やかな温泉街だろう」と想像する。「赤倉温泉の魅力は、歴史と自然と湯量の豊富さ」との事。これは湯原にも当てはまると計算機で湯量を打ってみた。「毎分三トンだから、一年の総噴出量は、百五十七万六千八百トン。」これを宿泊者数で割ると一人当たり、1.3トンが一人当たりの湯量となる。試しに日本一の湯量を誇る草津温泉の場合を計算してみた。「三十二トン/毎分で年間なら千六百八十一万九千二百トン」、年間宿泊者数百八十一万人だから一人当たり約9.2トンだ。やはり草津は凄い。「我が町は、どれくらいになるのだろう?」と町の資料から計算してみた。総湯量は、四.三トン/毎分。同じように「湯量÷宿泊者数」を計算して驚いた。「なんと・・・約10トン強だ。草津より多い。」日本一の草津温泉より一人当たりの湯量は、湯原温泉の方が多い。「日本一より多いのだから湯原こそ日本一だ。」と計算機片手にはしゃぎ回り、だれかれ構わずに声を掛けては、計算機を打ってみせる。「どうだ、湯原の方が多いだろう。湯原温泉が日本一だ。」でもみんな成る程とは頷くものの腑に落ちない様子。腕組みをして首を傾げ怪訝そうにつぶやく「じゃどうして湯原は、二十二万人しか来ないんだい。」湯量は、豊富だし温度も摂氏五十三度と適温、泉質も無色透明無味無臭、低張性アルカリ高温泉(ph9.23)。江戸の時代の温泉番付にも西の関脇になっている。と言う事は、温泉以外に問題がありそうだ。「空がない」と言われる程に狭い谷間の地である事や交通の便の悪さもあるだろう。でも一番の問題は、この天の恵みを生かし切っていない我々の問題のようだ。「赤倉温泉やいわき湯本そして温泉文化を活かそうとしている各地を見習わなければね。」井の中の蛙、大海を知らず、頑張ろう湯原人、頑張ろう日本の温泉。癒しの原点は、温泉とそこに住む人と文化にある。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2003年2月号

34.情報の中央発信
「古代癒しの湯を守る温泉街からの提案」:東京講演会
  千年湯の里「湯原温泉」発!

私ども湯原町の各種団体で造る「湯原の里振興プロジェクト」では中央へ の情報発信の第一弾として「古代癒しの湯を守る温泉街からの提案」と題した講 演会を開催いたします。湯原温泉郷は、古代からの湯治場として栄えてきた温泉 町です。その中心は、いつの時代も古代の湯場の姿のまま住民により守り継がれ てきた湯治場である砂噴き湯(通称:砂湯)でした。混迷する現在の日本にあっ て人々は、癒しを必要としています。我々は、その原点は、やはり温泉にあると 考えるのです。近年、ボーリング技術の向上で各地に近代的な温泉観光地が開発 されていますが一部には温泉とは名ばかりの施設も多数見受けられます。その状 況にあって忘れられつつある本来の癒しの場である湯治場の姿を中国地方の山深 い温泉町である湯原温泉を例にご紹介し現在の温泉利用のあり方についての一石 を投じたいと思うのです。また併せて自然溢れる真庭の観光PRを行います。
日時:2003年2月12日 午後1時受付 午後1時30分開演
場所:全国都道府県会館:東京都千代田区平河町
主催:湯原の里振興プロジェクト委員会
後援:岡山県・岡山県観光連盟・真庭ふるさと振興協会
旅行記者クラブ、旅行作家の会、山陽新聞社、産経新聞岡山総局、読売新聞岡山支局

講演会 概要
第一部 講演会
1.松田忠徳氏:札幌国際大学教授
  内容:温泉ゼミナール「日本人と温泉」
2.事例発表:湯原温泉「古代癒しの湯を守る温泉街の取り組み」
3.岡山県観光PR:宮本武蔵

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2003年1月号
33.温泉の「味」と「衛生」について

長野県の田中知事がレジオネラ属菌の問題で入浴施設などに菌の検査や基準を超過した 場合の公表を義務付ける条例改正案を持ち出した。結局十二月県会への提出を見送ると決めたものの全国の関係者は、それぞれへの波及の懸念もあり騒然となっている。特に温泉利用施設に於いては、現在の基準値では実質「0=ゼロ」で無い限り駄目な訳でこれを実現させる為には浴場のお湯それ自体に殺菌効果を持たせる必要がある。喩え掛け流しで温泉を利用できる恵まれた施設でも余程、酸性の強い泉質でもない限り塩素等の消毒剤を常時投入しない限り実現できない基準値だ。消毒剤としては通常の塩素以外にもオゾンや比較的泉質に影響を与えにくいと言われる二酸化塩素等もあるが設備費や薬剤のコストに問題がある。まして従来、利用者から喜ばれてきた「掛け流し」の温泉施設の場合、そのコントロールが難しい上に泉質の劣化も考えられ行き過ぎた規制は、日本の温泉文化を揺るがす事とも成りかねない。日本人に「食中毒なるから刺身や鮨は、食べるな」、または、食事を提供するものに「生ものはいっさい出しては駄目、全て加熱した物を出しなさい」と言うのと同じ様に無茶な事を言っている思えるのです。
 このレジオネラ属菌に端を発した浴場水の衛生問題は、食品衛生と同程度の啓蒙指導を関係機関である都道府県保健所で行う事で解決すると私は思っています。食品衛生と同様に施設側が正しい知識を持てば、「真夏に数時間も常温に放置した刺身を出す愚行」を行う者はいないのと同様に各施設毎に正しい浴場水の管理は、行われると関係機関には信じて頂きたい。またその様にしなければ解決しないと思うのです。現状に於いてはレジオネラ属菌に対する知識が我々もそして関係機関側も不足していると思われます。少し過敏になり過ぎている。通常の調理で無菌の刺身が出せるでしょうか?理想は理想として現実的な対応が有ると思います。レジオネラ属菌は、宇宙から来たエイリアンでも無ければ、殺人目的に製造された生物兵器でもありません。恐らく人類が生まれる前からいつも側にいたありふれた細菌です。ただ現状に於いて無知と非常識(宮崎県の三セク温泉の様な)が怖いのです。この混乱に乗じた詐欺紛いの業者もあるようです。とにかく今は、現状で把握されている藻の発生や「ぬめり」を除去し常識的な清掃やお湯の循環経路に気を配りながら消毒の為の薬剤や濾過器の管理方法など正しい知識を得る事が肝心と思います。その為には行政に任せっきりの姿勢ではなく旅館組合など業界として積極的に啓蒙を計る取り組が大切と考えます。今、必要な情報は、レジオネラ属菌の生態、検査機関、効果的な薬剤とその使用方法、循環経路の検査マニュアル、関係省庁の取り組み等々・・。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2003年1月号
33.青年部全国大会に参加して

長野で全旅連青年部の全国大会があり家族で参加しました。私は、来賓で招かれました。家内は、今年OBになったので部員としては最後のお勤め。そして娘は、今年入部し初めての参加です。お陰様で良い家族旅行と相成りました。行きは地元の青年部員にご一緒させて頂き岡山から羽田に飛び東京から新幹線で長野に入りました。車窓は山頂に雪を抱いたアルプスが近づきます。青年部員たちもビール片手に皆ウキウキしています。私達家族も普段とは違う面持ち。駅からは差し回しのシャトルで会場へ、地元部員たちの歓迎の挨拶が嬉しい。最初に展示会場と後に懇親会場となる施設に案内される。次々と顔なじみに会えるのも嬉しい。みんな元気そうだ。久方に合う友人たちと歓談の後、本会場に移動、旅館総研の研修会場に入ってみた。小規模施設の経営建て直しのビデオが流れていた。判りやすい内容だ。青年部員が演じる宿の使用人や銀行員に笑いも出る。経営再建がなされ一息付いたところで大どんでん返し1年前の懇親会でお世話になったコンパニオンさんが乳母車で子供連れて登場、「この人があなたがパパよ」で大爆笑。ウケにうけた真面目な研修会でした。大会の式典も寸劇を間に挟んだ楽しい演出で参加者を釘付けにしていた。懇親会は、スケールの大きな諏訪大社の祭り「御柱」の木遣りに始まりました。会場には神聖な雰囲気が漂います。巨大なスクリーンに映し出される祭りの進行に合わせて消防団の行軍ラッパが流れます。勇壮でした。長野県部長の中村君が足の悪い私用に椅子を用意してくれていたのには吃驚。気遣い痛み入りました。そして乾杯。郷土料理に舌鼓を打ちながら杯を交わし全国の友人と言葉を交わします。あまりに楽しすぎて、あっという間に閉会になった感じです。お土産に青年部のマークの入った林檎を頂き、ロートルは、ホテルに引き上げました。後輩達は2次会場に移動、恐らく朝まで楽しんだ事でしょう。しかしホテルにもお客さんが訪れ大会の興奮も冷めやらずそれなりに楽しい会話も交わしました。翌日は、東京お台場に移動、授業の関係で長野まで行けなかった大学生の長男ともここで合流、ショッピングや食事の2日間を楽しみました。 さあ帰ってからが大変、今回は、モバイル機も持って来なかったので3日間のメールが全てノーチェック。300通以上のメールにご返事を書いています。出張は楽しい。日々の仕事から唯一離れられる時間がとれる。このメールさへ無ければ楽で良いのだけど、今や貴重な飯の種です。最近は、メールの返信の溜まるのが嫌で出張が億劫になっています。 長野の青年部の皆さんご苦労様でした。 素晴らしい大会をありがとうございました。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年12月号
32.本物の露天風呂と観光用露天風呂

私の町には共同で使う無料の露天風呂があります。たたら製鉄の時代からと言いますから太古の昔からみんなで守って来た自然の露天風呂です。川底の砂を噴き上げながら湧き出しているので砂噴き湯とか砂湯と呼んでいます。最近まで私たちはお客様に「どうぞご自由に・・」としか案内していませんでした。そこでは地元のおじちゃんやおばちゃんが「温泉指南役」を自然にしてくれていました。その為、宿屋の人間は特に何の案内をする必要も無かったのです。始めていったお客さんは、そこで入浴のマナーを嫌でも教えられます。「コラコラ、そこのお兄ちゃん、上手(上流)から入るのは駄目だよ、湯が汚れるじゃないか、湯尻から入ってきなさい。」こんな具合です。湯尻とは湯を捨てている部分の事です。まずこの部分に入り身体の汚れを流してから順次、上流に上がっていくわけです。これなら多少混雑してもお湯は清潔に保たれます。温泉は川底の砂の間からドンドン噴きだし下流へ流れています。これを守れば一度に大勢が入っても湯は清潔さを保てます。ところが最近は、温泉を自由にポンプを使って送れるようになったものだから町のあちこちに洗濯場と称して観光客にはご遠慮頂く「川湯」を造ってしまったのです。元より湯は、いくらでもあります。当然家から近いものだから指南役をしてくれていたおじさん達もそっちにいってしまい、本家の露天風呂に行かなくなってしまった。さてこれが困った事になりました。ルールを知らないお客さんが、勝手気ままに利用されたのでは荒れてしまいます。生活や湯治の為のお風呂がカップルの混浴風呂になってきたのです。若い人は、水着で入ろうとするし「湯尻」なんて言葉も知らない。いきなり上流からドボンと入ってきたりして銭湯でも当たり前の掛け湯さえ知らない様子。塩素の錠剤でも投げ込んでやりたい気持ちですね。「こりゃ困ったモンだ」と言ったところです。ここは昔の頑固親父に頑張ってもらって温泉指南役の養成を考えなけきゃいけない。とりあえず管理された観光用露天風呂と湯治(本物)の露天風呂の違いから利用者に教えることになりそうです。  今、各旅館や飲食店で配る「露天風呂入浴指南」の作成に取り掛かっています。温泉の歴史や効能を知りその使い方も理解する、この事を手がかりに普通でない事の有り難さを説いていきたいと思っています。最近考えている事は、「温泉街は、その湯量によって適正な規模が自ずからありそうだ。」と言う事です。決して無理をしてはならないし守りの体制もとる必要があると考えています。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年11月号
31.水と温泉について

20年ほど昔、都会に住んでいる小学2年生の甥っ子を夏休みの間、 預かっていました。その子が都会に帰る時、「お土産は、何を持って帰る?」と 聞くと「水」と答えたのです。その時の私にはその言葉が理解できませんでした。 水は、蛇口をひねると出てくる物でした。お金を出して飲む水は、スナックでウ イスキーの水割りに使うガラスの瓶に入ったミネラルウォーターだけ、重い思い をして担いで帰る様な物ではありません。甥っ子には宅急便でガラス瓶に入った ミネラル水を洒落のつもりで後で送ってやり笑い話にしていました。しかし今や 飲み水はペットボトルが常識となりました。山間の地故、我が家では今も井戸水 を飲用にしていますがご宿泊のお客様の多くはペットボトルを持参し無くなると 販売機を探します。お部屋の水道水が「美味しい」と説明するのに苦労します。 リピーターのお客様の中にはポリタンク持参で来られ、帰る前に駐車場の蛇口か ら10個余りも汲み帰る方もあります。「水と空気、そして温泉と安全は、タダ。」 と思っていましたが今やその感覚は違うようです。我々が普通に思っている事が 都会からお越しになる方には異文化と感じられる事もあるのですね。最近、私の 努めている事は、この地の水と温泉についてご説明する事です。これだけで多く のお客様は感激されます。皆さんの土地でも地元の人が普通と思っていた事に来 訪者が吃驚される事はありませんか。もしあればそれは重要な事かも知れません よ。今まであまりにも普通と思っていた事が実は、もの凄く有り難い事かも知れ ません。それは資源であり後世に伝えられるべき財産となる可能性があります。  最近、地元の人をつかまえては「ここのお湯はどんな温泉か知ってるかい?」 と尋ねています。満足に答えられる人は希です。水は蛇口や小川から汲み飲むの が当たり前、温泉は、自然に湧いているのが当たり前、至る所にあってどこでも 直ぐに利用できる。この有り難さに早く気づくべきだった。そしてその環境をア ピールして後生に残さなければならない。意識する事によって守らなければなら ない事も沢山ありそうです。地元民が普通でない事を意識しなければいずれ埋も れてしまいます。宿屋は大きくする事を常に考えています。その為には多量の温 泉が必要です。行政も町興しで温泉の利用を考える。温泉は、石油などと同じ限 りある資源です。たとえ持たざる者から不公平と言われようとも守る為には閉鎖 的、排他的である必要もあると考えます。一番に自分自身の「欲」をどこまで押 さえられるか、それがそれが問題ですが・・

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年10月号
30.レジオネラ属菌

 8月27日に湯原町旅館協同組合では全体会議を行い「レジオネラ菌感染予防」の講習会を行いました。理由は、料理に喩えるなら「味の良し悪し」の問題以前に「食中毒に気を付けましょうね」と言う意味程度の考えでした。組合内の施設は、4つの異なる泉源を利用していますが幸いいづれも湯量は豊富でいずれの施設も基本的には「掛け流し」または、それに近い状態で利用されています。組合内部でも「レ菌予防の講習会など当組合では必要ないし藪蛇にも成りかねない」と言う意見もありました。しかし湯温や液面管理で循環式を行う施設もあります。また如何に湯量豊富といえども基本的な衛生意識が欠如していては万一の事態が発生しないとも限らないと言う視点からあえて行いました。結果的にはこの事により当たり前と思っていた温泉の存在が如何にありがたいものであるかという温泉街の基幹に関わる問題をあらためて認識する事ができ良かったと思っています。ともすれば温泉は客寄せの単なるコンテンツの一つとしか考えていなかった我々旅館関係者にその歴史的にみた存在価値や今後の方向性など考えさせられる非常に重要な問題提起となったのです。今までお客様に「ここの温泉て何に効くの?」とか「泉質は?」の質問に対して「神経痛やリュウマチ・・・?」など曖昧な答えしか出来なかったのが「泉質は低張性アルカリ高温泉、phは9.23、毎分1700リットル、53度のお湯が自噴していて魚骨方式で配湯されており当館では掛け流し方式で加温加水なく利用しています。無色透明無味無臭ながらphからお判りのように成分は濃厚で・・・・」等と旅館従事者のみならず温泉街の誰もがスラスラと答えられ、さらに健康面での積極的利用法についてアドバイスが出来たなら現在マスコミなどで問題視されている温泉の真贋や評価問題など意識する必要がないと思うのです。温泉療養医や温泉利用指導者の指導を受けて旅館関係者のみならず土産物店のおばちゃんや飲食店の親父さんまでが「温泉指南役」、チョットかっこ良く言うならば「温泉セラピスト」。こんな人たちがワンサカいる温泉街に出来たなら他に何がなくてもそれはそれで素晴らしい町づくりに成ると思うのだが・・。

 ここで私の「温泉=お風呂」に対する衛生面、またはある意味で非常に歪んだ概念を白状します。中学生の時代に保健体育の先生から聞いた言葉が「トラウマ」に成っています。

その言葉とは「お風呂は、お口とお尻の間接キス」。これ以来、湯船の中で顔を洗う事が出来なくなりました。ただし例外もありますがこれは非常に希な状況のみです。(この例外について言及されますと私の人格が著しく損なわれます。ご勘弁下さい。)アニメ映画の「千と千尋の神隠し」が大好きです。温泉の持つイメージが濃縮されていると思っています。特に「汚れ神=実が川の神様」の入浴シーン。主人公の「千尋」が湯札を「釜爺」に送り「汚れ神」を清めるシーンです。これって「新湯・都度・張替」の超贅沢な温泉入浴方法じゃないですか。レジオネラ菌に象徴される温泉の衛生問題や温泉の持つ「癒し」のイメージが象徴されておりヒントになっていると私には思えてならないのです。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年9月号
29.直前予約が増えてませんか?

私の宿では最近、予約の発生が遅くますます直近へと移行しています。理由はやはりインターネットにあると思っています。ネット予約が一般的になるほど、この傾向は高まる。理由は、お客様にとって目的地や宿の情報が豊富になり選択の絶対的対象が増えているからです。これは主にインターネットによる情報が充実してきたことと他には宿泊施設の直販広告として宿泊情報誌の利用が増えた事が起因していると推測しています。また家族旅行など移動コストの安い自家用車を利用する傾向が高い事も原因の一つ。移動に車を利用した場合、鉄道と比べて自由度も高く宿の選択以前にエリアそのものも高速道の整備と相まって広範囲になります。宿泊地を限定するなら当然、宿も限られますがその宿泊地の選択そのものが広範囲から可能となれば「宿などどうにでもなる」とお客様は考えるでしょうね。しかもそれら観光地や宿の情報がインターネットで容易に得られ予約も出来るとなれば、予定も立たない数ヶ月前からの予約の必要も無いと言うわけです。勿論、前提として宿泊地や宿に「拘らなければ・・」と言う事ですが、明日の見えない不確実の時代だからその傾向が強くなっていると思うのです。ではこの様な時代に宿屋は、どう対処すべきかというと古今東西同じで「拘りを持ったお客様を多く持つ」と言う事ですよね・・と、ここまで書いて「うちの宿って要するに拘りのないお客様だから直前予約なんだ。」と自らの宿の魅力無さを棚に上げてインターネットに責任転嫁させている事に気づいた「馬鹿な宿屋のおやじ」なのですが皆さんのお宿は如何でしょうか?

さて岡山の山奥、空のない街、湯原温泉の「町づくり情報」です。

旅館組合の青年部の皆さんが頑張ってます。夏のイベントとして新たに「ファミリーフィッシング大会」を5日間のロングランで行ったり、空き店舗対策でギャラリーを開いたりと大活躍です。また有志で行っている湯原温泉の歴史を大看板に描く「まちかど物語委員会」も第三作目に取り組んでいます。(写真)お客様の記念写真の場所として人気あります。(写真は物語委員会メンバー)

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年8月号
28.本物温泉、まがい物温泉・・?

最近この事がマスコミで良く取り上げられています。私が目にしただけでも日経新聞の日曜版にほぼ一面で大きく、通販生活と言う主婦向けの雑誌に8ページ、いずれも循環式の見分け方を図解入りで詳しく説明、また地元新聞でも温泉協会発の情報(おそらく共同通信発)として★印による評価を利用施設毎に行うという記事が載っていました。これらをほぼ同時期に目にしました。今日は、全国放送の人気TV番組でもその話題を取り上げていました。その内容は、一様に完全否定では無いけれど本音として見え隠れするのが「循環濾過湯」は、悪。放流湯(掛け流し)式が良いと受け取れるモノでした。勿論、循環濾過の必要性も説いてはいたのですが私の素直な感想は、消費者は、掘り下げて考えてはくれず単純に「善」「悪」に判断してしまう様に思えました。しかもこのマスコミでの露出度は、まるで以前のO-157か狂牛病、はたまた食品の産地偽称の問題を思わせます。特に日本温泉協会の取り組みがあまりにタイミングが良すぎて?(敏速な対応と言うべきでしょうが)

 本来、消費者が温泉に求めるのは、「情緒」と「癒し」。古来からの「湯治」と「観光」という2つの目的です。私達、温泉宿は、それぞれの温泉地の中で訪れる方のニーズに応えてきました。「うちの宿は湯治場です」と言い切れる人は少数でしょう。観光を主にやってきた温泉宿の方で「うちは湯治には向きません」と仰る方はいない。またお客様も比重は別にして両方を兼ねてと言う場合が多い筈です。どちらにしても温泉宿に訪れる目的は、お客様が決める事でありその意味では私達は受け入れるだけです。お客様が大きなお風呂が良いと仰れば大浴場を作り、露天が良いと仰れば露天風呂を造る。少し儲かってお客様も増えたので増築して大勢のお客様がお越しになっても対応できる様にした。露天風呂付きのお部屋も造ってカップルのお客様の喜んでもらえる様にもした。でも大元の温泉は、昔から量が同じで元々は、掛け流しで使っていたけれどそれでは量が足らなくなり循環濾過にし衛生問題もクリアーして喜んで頂いていた。それが突然、本物だとか偽物だとか「えっ今更・・なんだよ」て感じですよね。確かにまったくの偽温泉とかタンク車でお湯を運んで「温泉です」と言う様な例外(こりゃ確かに詐欺だ)の部分をクローズアップして温泉を大切にしつつお客様のニーズに応えてきた温泉宿を同列に扱う様な今の風潮は、「如何なモノかと・・」。今回、日本温泉協会さんがこの問題に取り組み5つ★で評価を行うという試みのようですが会員数1850名、うち宿泊業界の会員が1500名という協会メンバー内だけで取り組まれたのでは、加入してない温泉宿が絶対的に多い我々業界において少し面白くない状況に成るのではと懸念しています。全旅連に加入する組合員26000名の中で温泉宿は、半数以上有ると思われます真に利用客の事を事を考えるので有れば全旅連こそこの問題に取り組む事が必要なのではないかと考えます。この問題は、全旅連の従来からあるピラミッド形式の細やかな組織が有効に活用できる格好の材料では無いでしょうか?全旅連の活動目的に照らしても最も取り組むべき問題です。温泉利用施設問題部会の設立を提案出来ればと思います。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年7月号案
27.ネット会議システム

 今が一年中で一番憂鬱な季節です。各種団体での総会など会議に追われ思考が中断されるからです。私の場合、パソコン&インターネットという思考と知識の補助が身の回りに無いと駄目なんです。しかも使い慣れた物でないと駄目。思考の切り替えも遅く、一つの事を考えてる時に他の行動を起こす必要が生じると元の思考に戻すのにまた最初からやり直す事が常です。その為、いろんな会議が続くこの時期は、全てが中途半端になってしまいます。せめて移動時間さえ無くす事が出来れば助かると思ってます。2年ほど前にテレビ電話を使ったNTTのシステムを試用できる機会があり全国の友人に配って使ってみたのですが、実用には少し問題がありました。テレビ電話では表現力に限界がありました。まだ当分掛かるなと思っていた矢先に新しいパソコンを使ったインターネット電話を友人から紹介され現在、試しているのですがこれが優れものでテレビ電話の機能にプラスして簡単な操作で相手にこちらがパソコン上に用意した資料を画面に映し出す機能を持つ等、非常に多機能なのです。

 この機能が1対1でなく1対100の単位で利用できればインターネットテレビ会議が実用となりそうです。イメージとしては、雇用能力開発センターで行っている講習会を思い浮かべてください。あの講習会では専門の操作者が東京のセンターと都道府県のセンターに必要ですがもっと簡単です。そして何より特別な装置が不要です。例えば全旅連なら昨年、都道府県に配備したノートパソコンを利用して直ぐにでも行えそうです。参加者は、都道府県組合事務所のパソコンの前に座るだけで良いのです。もちろん環境さえ整えば自宅でも参加できますが音声などそれなりに調整や慣れが必要ですから当初は、事務局の方に馴れて頂きアドバイスを受けながらと言うのが現実的です。

 如何ですか、こんな夢物語・・。システムの開発会社に問い合わせたところ、8月にはシステムが出来るそうです。現在、急速に進みつつあるADSLに代表されるブロードバンドの技術をもってすれば技術面及び運営コストは、簡単に実用レベルに達する事と思います。実務者レベルの会議なら1年待たずに可能になると思うのですが全ての会議をこれで済まそうというのは絶対に無理ですね。問題は、別のところに在るような気配です。極めてメンタルな部分でこういった会議は、どんなに簡単で便利になっても偉い方が集まる必要がある会議では認めてもらえない様な気がするのです。ホントはそんな偉い人にこそこのシステムを利用してもらって楽になってもらいたいと思うのですが・・。暫くは、お遊びで友人達と遊んでみます。何か使えそうと思われたらご連絡下さい。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年6月号
26.インターネットは「ドック・イヤー」
・・決してこれから始める事が「手遅れ」ではない・と言う意味

インターネットの世界での時の流れは、「ドック・イヤー」と言われます。犬は、人よりも7倍早い「時」の流れの中で生きていてインターネットに代表されるデジタルの技術革新は、丁度、犬の時間と同じスピードで行われていると言う事だそうです。ITへの取り組みが1年遅れるとデジタル世界では7年遅れたと同じなのだそうです。でもこの話には、「オチ」があり「ドック・イヤー」と言うのは、あくまでも技術の進歩の話であって例えば、1年型式の古いのパソコンを買うのは、昔で言えば7年前のパソコンを買ったのと同じという程度の話でそのパソコンを扱う人間は、結局その時の流れについていけない。使い慣れた古い知識に固着するとその概念に囚われ、時代に取り残されてしまう。常に新しいモノにチャレンジしない限り「時」に取り残されるという意味が真意です。パソコンを「今」から勉強される人の方が結局は、古い人間を追い越していくのです。私のように古くからパソコンを使っていた人は、大様にして「今」便利良く使っている技術に囚われ、余程の好奇心に強い人でない限り新しい技術に取り残されてしまいます。例えば、かつてパソコンのオペレーションシステムと言えば「MS-DOS」が主流になっていた時代(1995年まで)があります。私もその技術にどっぷりと浸かっていた人間なのですが、突然、現れた「Windows」に過去の知識は、根こそぎ遺物となる経験をしました。それまでの十何年間に覚えた過去の知識は、リセットされ(全て「無」)となり、僅かに考古学的な意味しか成さないような気分を味わいました。その時は、インターネットという新技術が付加されていたので何とか移行する意欲が湧きましたが現在のような緩やかな変化には、「ゆで蛙」状態です。劇的な変化で無い限り人を動かさない(その気にさせない)のかも・・。そんな事を考えている「今日、この頃」。

 パソコンをこれから始めようと思っておられる方にアドバイスです。決してこれから始める事が遅いと思う事はしないで下さい。貴方は、今、パソコンを使いこなしている人よりも新しい知識を必ず得る事になります。大切なのは今という「時」を無駄にしない事です。これから得られる知識は、貴方の生きるこれからの時(大げさに言えば人生)を何倍にも感じさせる劇的な変化を経験させます。これから生きる10年が70年分に・・たとえ5年でも35年にインターネットを知らずに終える人生の7倍生きる事と考えてみて下さい。犬の時間感覚で人間の時を生きる、これが「ドック・イヤー」です。

PS:先月号の原稿で全旅連のHP「宿ネット」が「リニューアル行った」と書きましたところ、作業が遅れてしまう事態となりました。投稿と発行の時間差と私の軽率な判断でした。謹んでお詫び致します。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年5月号
25.全旅連「宿ネット」のリニューアル:全旅連インターネット委員会モード

全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)のホームページが大幅にリニューアルされました。全都道府県支部に加入する全施設(約26000軒)の情報が携帯電話のコンテンツも含めて全てのネットで(i-modeとj-phoneは、近々オープン)閲覧できるようになりました。「宿ネット」での情報掲載は、3つの階層で行われます。第一の階層は、全施設の基本情報で宿名、住所、電話番号等です。この段階の情報は、都道府県名簿から掲載され管理は、都道府県の組合事務局がオンラインで行います。第2階層は、従来からの施設の詳細情報でここでは今までにお寄せ頂いた1万2千軒の情報が掲載されています。こちらも引き続き無料で掲載していきますので読者の方で「うちはまだ」と思われる方は、ネットでご確認頂き都道府県の旅館組合にお申し出下さい。第3階層は、ROOMBANKに加入している施設での予約を受け付けるものです。

 今回のリニューアルの主点は、加入全施設の掲載と予約システムをROOMBANKに変更した点です。基本の施設情報部分(施設名・住所・電話FAX番号)は、各都道府県事務局において管理され加入脱会の情報がリアルタイムで反映されます。予約システムで利用するROOMBANKは、(株)トランスネット社の行う共同客室販売管理のサービスで全旅連の認定したシステムです。その特徴は、各施設のオリジナルホームページで利用できる点とROOMBANKに加入する販売サイトと空室情報や宿泊プランなどの情報が共有される事です。このシステムを導入理由は、客室の空室管理が軽減されさらに販売チャンスが増えるという点にあります。

 このリニューアルには大きな効果が期待できます。まず全施設の掲載が行われた事で今まで任意掲載であった為に出来なかった「公」に対する情報利用の働きかけが積極的に行えるようになった事です。すでに厚生労働省からのリンクも行って頂ける旨の内諾も頂いており今後は、各都道府県の観光連盟や市町村の観光情報における施設情報部分での利用を都道府県の組合と計りながら積極的に働きかけを行います。これによるアクセスアップは、画期的なものが期待でき、この二重三重の「公」によるリンクは、加入の施設においてもネットにおける集客に今までにない貢献が行える事となると考えられます。

 インターネットがスタートしてすでに8年になります。ADSLなど常時接続のインフラも整いあらゆる分野で本格的な利用が行われています。待望のJR乗車券の販売も行われており消費者の利用もパソコンマニアによる「お遊び」からほとんどの人が利用する「実用的な道具」になりました。各自が行うオリジナルホームページでの情報発信は、個性をアピールする重要なツールです。しかし消費者には多様な場面におけるニーズがあり集約した情報も重要です。この部分の情報管理も重要でありベンチャーな企業に任せる事は問題があります。私のお預かりする全旅連のインターネット委員会では、この集約部分での役割を担っていきたいと考えています。ご意見をお寄せ頂けたら幸いに存じます。 E-mail:nobu@net626.co.jp

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年4月号
24.カランコロン大通り

湯原温泉のホームページは、旅館協同組合、観光協会、商工会、役場の4団体でインターネット委員会を作り運営しています。そのホームページの名前は、「カランコロン大通り」。由来は、お客様がいっぱいお見えになり下駄履きで温泉街をカランコロンと賑やかして頂きたいという願いから付けられました。ここ十数年間、湯原温泉の入客数は、大きな変化はありません。しかしお客様の消費性向、客層の変化で旅館以外の飲食店や土産物屋さんが寂れ空き店舗がポツポツと出てきました。Y字形に川沿いに並ぶ温泉街の端にある混浴の共同露天風呂が名所なのでほとんどのお客様は、昔と変わらず旅館に宿泊されても温泉街をそれなりに歩かれるのですが道中の空き店舗が風情を壊してしまいます。かつて商工会で私が委員長になり空き店舗の問題に取り組んだのですが何分にも相手もある事で何も出来ずじまいに終わってしまいました。この事が気がかりで今でも空き店舗の所有者とコンタクトをとり続けてきたのですが前に本誌でもご紹介した「旅館組合直営射的店」が効を成し所有者に我々の本気の姿勢が伝わり前向きに考えて頂ける様になってきました。

 近く2号店の「つけもの本舗:仮称」が開店出来そうです。先の射的店は、旅館組合で取り組みましたが今度は、商工会、旅館組合の両青年部で行います。農家のおばちゃん達が作った自家製の漬け物や特産品、町のクラフトグループの作品の販売やイベントの際の出店などアンテナショップ的性格のお店になります。温泉街の中央にあるお店なのでいろいろと使えそうです。私の町の様な小さな温泉街は、ある意味でみんな運命共同体です。商店は、旅館がお客様を引っ張ってこないと成り立ちませんし旅館は、お客様に本来の宿屋としての商品とは別に温泉街の風情を味わって頂けなければ宿独自での集客力にも限界があり衰退していきます。私が嬉しいのは、旅館の仲間や町の人たちの多くがその事を理解されている事です。朝市や射的店の運営、イベントなど本来、旅館とは何の関わりもない事です。個々の経営的に見れば損になりこそ末、得は一つもありません。しかし旅館は、その温泉街の風情も商品にしています。時代の変化で旅館以外の商店が成り立たなくなって来ている以上、温泉街の風情の部分を維持していく事を旅館側で取り組まなければならない事態が今後もっと増えてくる事となりそうです。

 今、湯原温泉は、ジブリの宮崎駿さんのアニメ映画「千と千尋の神隠し」のメッカになっています。たまたま映画に登場する「油屋」と言う老舗旅館がありその「食湯館」と言う湯屋がどことなく映画に登場する「銭婆婆」の「湯屋」とイメージが似ているのです。(実際に映画スタッフがスケッチしてモデルにしたと言う事です)ジブリの映画は、大人も楽しめますが特に「トトロ」や「風の谷のナウシカ」に代表される様に子供を持つ親にとって絶対的に指示されています。上の二つの映画などもう十何年前の作品にも関わらず現在の小さな子供達にも人気です。この子達は、温泉のイメージとしてきっとあの「千と千尋・・」を大人になっても持ち続けるでしょう。嬉しい事です。日本の温泉地の存在的価値は、これでしばらくは安泰です。我が町、湯原温泉は、「千と千尋・・」に出てくるあの温泉街の風情にしていくぞ!私は、「顔ナシ」、カミさんは「湯婆婆」でいくか?

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年3月号
23.長期にお勤めの団体役員各位様へ

つくづく「そろそろ歳だなあ」と感じる時があります。尊敬する先輩達のご活躍を見るとまだまだ「はな垂れ小僧」だと思うのですがどうにも心が摺れてしまって何事に寄らず惰性でやってしまっている様な感じがしてしまいます。商工会の青年部、旅館組合の青年部と長をあずかり夢中模索で取り組んだ「町づくり」。町の先輩達に挑戦し反発して「ようし見ていろ」とがむしゃらに頑張って振り返れば誰一人ついてこなかった。それでも前しか見ないで突っ走った。気がつけば自らが当時、反発していた先輩達と同じになっていた。無意識に楽な方に流されていく。町の大事な事業をあずかっても大事なみんなのお金をドブに捨ててゆく。そんな気がしてならない。数年前なら十数万円の宣伝費でも任されると緊張していた。小さな新聞広告に知恵を絞り旅館は元より飲食店など町中を巻き込んで企画を組んだ。時にはヒットして電話が鳴り続いたが大半は期待はずれに終わった。そんな事を繰り返すうちに次第に気持ちが麻痺してきている様な・・そんな気がしてなりません。 私の住む湯原温泉は、中国山地の奥深く過疎の進む小さな温泉町(岡山県湯原町)です。人口四千人にも満たず、さらに減少しています。観光と農業しか無い町なのですが観光従事者の比率も少なく観光は、疎んじられてきました。しかし近年の農業の衰退に比して観光は、好調で不況と言われた昨年も入客数60万人に宿泊客数22万人、前年対で105%と僅かながら入客数、宿泊客数とも増やしています。前年もまた前々年も微増でしたのでグラフにすれば唯一右肩上がりの数字です。ここに来て行政も観光に対する思いに変化が出てきました。やっと観光に(少しだけ)重きを置きだしました。観光振興のプロジェクトを観光協会、旅館組合を中心に農業、工芸品関係者、商工会も加わって立ち上げたのです。ただしお金を出すのは、旅館組合と観光協会そして行政。建前は、町内のあらゆる事を観光のコンテンツに利用して誘客を行うというモノです(本来、観光というのはそれが当たり前なのですが、何故か大上段にその当たり前の事を改めて振りかざしました?)。各団体から代表者が集まり委員会が作られました。予算は、大盤振る舞いの1千万円。町づくり・イベントなどの費用と大半は、宣伝に割り振られました。この宣伝をさらに新聞・雑誌・インターネットに細分した予算を立てました。この宣伝委員長に私がならされたのですが大事な宣伝の骨子を決める委員会を開催しても集まるのは、いつも事務局を入れて3人ぐらい・・役員経験豊富な町の重鎮もメンバーに入っているのですがご欠席。町を挙げての「一大プロジェクト」、その一番重要な宣伝がこれですから何こそ況や。この予算も元は、全て自分のお金の筈なのですがいったん手から放れたお金には無頓着。全て人まかせ、お金まかせ。任せて頂く方は、次第にその重要な役という気持ちが麻痺してくるのです。長期にわたり団体のお世話をして下さっている方が田舎程多いです。人材の問題もあるでしょうが若い後継者でなくても数年おきに交代でやって頂く等の方法等で新鮮な気持ちを維持する事はできます。読者の方で身に覚えのある方はいらっしゃいませんか?この際どうでしょうか、私と一緒にとりあえず一旦、役員から身を引いてみませんか?お一人辞めるのはお寂しいでしょうから私がお付き合いさせて頂きます。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年2月号
22.明日が楽しみな日々

先月号に書きましたが私は、現在、CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)の治療として免疫ブロブリンの大量静脈点滴を受けています。一ヶ月のうち7日程度入院して検査と点滴を行います。この点滴で使用する免疫ブロブリンという薬は大変高価な薬で1本が3万5千円もするそうです。これを一日に11本、5日間点滴します。一ヶ月の治療代は、200万円を超えます。この治療をこれから2年間毎月続ける必要があるそうです。さらにその後も年数回は、この点滴を受け続けることになるとか。実際に私の支払う治療代は、保険と高額医療補助のお陰で10万円程度で良いのですが、お金の問題は別にしても複雑な心境です。免疫ブロブリンは血液製剤です。この薬1本を製造する為には、数十人単位の多くの人の献血(成分献血)が使われています。私の健康回復の為に他人の善意が消費されていく。

私が無駄な時を過す事は、その善意の方々の意を浪費しドブに捨てる行為だ。こんな私にそんな薬を使うだけの価値があるのだろうか。どんな生き方をすればその方々の善意に答えることになるのか。きっとこの治療を続ける限りまた生きている限りこの自問は繰り返す事でしょう。

 先日、こんな事がありました。ある親子連れの方が一ヶ月の間に2度お泊まり下さいました。一度目は、旅の途中の偶然のご利用でした。60歳代のご夫妻とそのご子息でした。ご主人は、くも膜下で半身重度の障害をお持ちでした。この宿泊の後、家に帰ってから旅先で偶然出会った私のことが話題に上がりフロントでの対応やレストランでのサービスの模様が話されたそうです。私の宿は、小規模なので手足は不自由でも口達者な私は、戦力です。フロントでのご案内と夕食時レストランでのアンティークオルゴール演奏会は、私の仕事にしています。そんな私の姿をご覧になりご主人を勇気づけようと二度目のご宿泊となったそうです。その日、チェックインの予定時間よりも随分早くご到着なさって車椅子で街をご散策されていましたが気がつくと他のお客様の案内をする私の様子を少し離れた位置からご覧になっておられました。こんな私でも人を勇気づけられる力があるのかと思うとテレ恥ずかしく思いながらも嬉しさも込みあげてきました。実は、私自身も発病当初は、奇異な動きが恥ずかしく人前に出ることが出来ませんでした。家内に無理矢理引っ張って行かれた会議の後、東京の交差点で偶然すれ違ったサリドマイドの方の毅然とされた姿に感動して吹っ切れたのです。

 治療の効果は、かなり劇的に出ています。昨日まで出来なかったことが私自身も気づかないぐらい自然に出来ると言ったことがあります。気持ちも180度変わりました。今までは、日に日に動かなくなる体に怯えて暮らしていました。夜、寝ることが怖い日々でした。今は、明日が楽しみな暮らしです。今後、完全に直ることはないでしょうが良くなっていくことでしょう。健康を取り戻した時に不自由だった時を過ごした日々を忘れないようにしなくては・・。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2002年1月号
21.人生修行の入院

今ちょっと入院してます。なかなか快適な入院生活です。お酒こそ飲めませんがかわいい看護婦さんが細やかに気遣ってくれて天国です。「最近の若い子は、何考えてるのか判らん」なんて自分の若い時のことを棚に上げて思うこともありますが、責任の重い危険な仕事をかいがいしくこなす彼女たちの姿を見て「なかなかどうして・・」と考え直しました。今回の入院は、CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)と言う珍しい?病気の治療の為です。免疫不良による神経麻痺で体のあちこちが動かなくなる病気です。10年前に発病したのですが当時の医学では効果的な治療法がなく今日まで「気持ちを体に合わせて」きました。最近になってヒト免疫ブロブニンという血液製剤が認可され効果を上げているという情報をインターネットで得たので「じゃあ試してみるかな。」・・と言う事で入院する気になりました。十年前に一度はあきらめた躰ですので少々複雑な思いもあります。治療の効果はてきめんで一部ながら改善の傾向が現れてきました。十年前にも治療方法の一つとして医師から提案はされたのですが、当時は、保険の対象とならない為、数千万の費用もかかると言われ行いませんでした。もし行っていたら発病直後なだけにもっと画期的に躰の機能は改善したかも知れません。でも大量の血液製剤は、当時は、フィルタリングされておらず確実にB型C型などの肝炎に感染していたでしょう。もし十年前に不自由な体にならず元気だったら遊ぶことばかり考えて今ほど仕事をする気にならなかったかも・・等々。何が幸いで何が不幸に繋がるのか、こればかりは誰にも判りません。過去は、過去として今は、明日を見据えた最善の策と行いに心がける。悩むよりも行動です・・なんて事を自分自身に言い聞かせてます。私の今居る病棟は、難病や重病の方ばかりです。八人の病室も静かです。しかし中央にあるロビーは、様態の安定した方が集まり結構にぎやかです。私の場合は、タバコ吸いたさもあり点滴をぶら下げて大半をこのロビーで過ごしています。胃ガンで明日、手術する人、膠原病で30年入退院を繰り返している人、皮膚が硬化する難病で指が曲がり社会復帰に悩む二十歳のお嬢さん、筋ジスのお爺さん。世間話に病気を忘れ花が咲きます。消灯後もここは賑やか、若いグループは、お菓子を持ち寄り毎日パーティーです。そんな中に面白いお爺さんが居ました。自らも膵臓ガンで放射線の治療を受けているのですがその若いグループに入って毎晩人生相談に乗ってました。聞けばお寺のご住職。豪快に笑う様からは本人が重いご病気とは、とても思えませんでした。どんな境遇にあっても人を思いやれる気持ちを持ち続ける。十年前の長期の入院時には、感じなかった思いが少し芽生えた今の私です。世情を離れて病院暮らし、人生の修行にたまには良いかも。脈を執ってくれる看護婦の笑顔を見上げ何故か血圧の上がった私です。「修行がたらん、修行が・・カツ」例の和尚さんに叱られそうです。

 ホテルとホスピタルは、語源は同じだそうですが我が儘な患者に笑顔を絶やさず優しくいたわる看護婦さん達、旅人をもてなす我々は、見習うところが多くあるように感じました。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年12月号
20.ブロードバンド時代

ここにきて田舎であることが思い知らされる。待てど暮らせどブロードバンドがやってこないのだ。メーリングリストの知らされる各地からの「うちにも来たよ」の文に悔しい思いをしている。ブロードバンドとは高速度で大容量の情報を転送するシステム。1本のケーブルに複数の信号を乗せて送るモノで理想的には光ケーブルが良いのだがCA-TVが敷設されている一部の地域を除いて現在、進んでいるのは、ほとんどの家庭に引き込まれているADSLと呼ばれる電話線を利用する方法。既存の電話線をそのまま使うので手っ取り早い。1本の線に流れる信号の周波数を分けて使うので従来の電話と共有出来る。それでも交換機内の工事は、必要なのだが一度に全部出来るわけなど無く利用者の多い都市部から順に田舎に広がっているというわけだ。もう一つ家が世界に繋がっている線がある。コンセントの電源だ。研究中と言う事だ。これが使えればややこしい配線の必要がなくなる。もう10年もしたらコンセントに差すだけで全ての電気器具が情報ツールになってしまうと言う恐ろしい時代がやってきそうだ。電子レンジや冷蔵庫、テレビは、勿論のこと、照明の蛍光灯やエアコンまでもが世界中どこからでもコントロール出来るという時代だ。そんな先のことはともかくとして私の町、湯原温泉には、CA-TVは、おろかADSLですらまだやってこない。深刻な情報過疎だ。NTTさん頑張って頂戴。4年前まではアメリカに比べて10倍高いといわれていた通信料だがADSLなどブロードバンドの普及により一気に欧米並みとなった。さらに後数年すれば狭い国土が幸いしアメリカを抜いて世界一通信料の安い国になるかも・・。基本的なインフラは、もともと一番調っていたからということだがそれもブロードバンドがやってきたらの話であって、こないところには何の恩恵もない・・とほほ。さてこのブロードバンドの利用のされ方というとお国柄により何故か差があるという。アメリカでは、高速大容量を生かしたデーターの交換に主体を置いた使われ方をしており、日本ではデーター転送よりも常時接続されているという環境そのものにブロードバンドの価値観を持っているという調査結果を最近見た。まだ使い慣れていないからなのかも知れないが動画や音楽の配信よりも繋がっているという安心感が喜ばれているという。しかしもう少しADSLの普及が進めば動画などの大量情報転送のビジネスが本格化してくるだろう。ホームページに女将さんが案内する宿紹介のWeb-TV放送だけでは面白くない。現状の館内のネットワークから外に飛び出し業務全般にわたる一元管理の時代になるだろう。面白いところではお客様がホームページ上の「インフォメーション:ボタン」を押せばパソコンがTV電話になり対面しながら問い合わせにお答えする機能、これはすでに開発されている。便利な反面、もうパジャマ姿で事務所に待機出来ないな。フロント嬢の化粧が厚くなりそうだ。 

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年11月号
19.大きな耳

家内から「あなた少し黙ってた方が利口に見えて良いわよ」と言われて憤慨する事がありますが我ながら思い当たる面があり一人になった時、それなりに反省しています。家の中だけなら良いのですが確かにどこでも良く喋っていて「しくじった」と思う事が度々あります。饒舌な人は、少なからず誰でも身に覚えがあると思います。セールスマンの訪問時でもあまり喋りすぎる人の話には「?」唾を眉につけながら身構えてしまいます。ある意味、攻防戦ですからそんなセールスには、こちらも負けずと迎え撃ちます。逆に物静かで紳士的なセールスなら「とりあえず聞いてみよう」と言う気になります。こちらも客商売ですからそのテクニック?は、身につけていなければならないのですが、私の場合、やはり少々喋りすぎのようです。自戒に駆られる秋の夕暮れ・・。

 宿の経営にも同じ事が言えます。皆さんのお宿では、お客様のご意見は謙虚にお聞きになられサービスの向上に努められておられる事と思います。しかし昨今の一億総評論家といった様相に少々辟易した感もぬぐえません。その結果、手前みそのサービスで良しとしてお客様の声に耳を塞いでいた気もします。またエージェントの方ばかりを見ていて本来のお客様のお顔が見えてなかったという様なお話も良く聞きます。我々宿のサービスの提供は、多様な為その宿の個性により重点におくべきコストの配分に悩むところです。昨今は、旅館形態でもBBやRCの宿が多く見受けられますがこれもその悩みの呪縛から逃れる一つの方法からと思います。従来の一泊二食付きの形態でも「料金の泊食分離」を取り入れれる方法もあります。しかしこれらへの移行も「用意ドン」で一度に切り替えるのも至難の業です。こんな時、便利なのがホームページでの集客です。思いついたら取りあえずインターネットでやってみる。他の媒体と違ってプラン作成、即、情報発信ですから「思いついたら吉日」で実行出来ます。そこで重要なのが人の意見を聞く事、特にお客様の意見です。駄目な企画なら直ぐにやり直す事です。今までのホームページは、少々喋りすぎ?だったり、またそうでなくても一方的な形容詞だらけの情報でパンフレットそのままというのが一般的のようです。これだと情報発信は直ぐに出来ても反応が判るのにまだ時間が掛かる。私のホームページもまさしくこの部類を抜け出させずにウロウロしているのですが、これからのホームページには、「聞く耳」を持ったホームページ作りを行う工夫が必要です。一方的な情報発信でなくお客様の要望をお聞きしてそれにお答えするシステムです。それは見積もりという形になるのかも。もっとソフトな感じがいいですね。私もまだこれだというきちっとした形が見いだせないのですが、これが出来れば単に直接的な集客だけでなく潜在的な需要の掘り起こしも出来るし、メールニュースなどを利用した囲い込みも出来そうです。また勇気はいりますがご意見を拝聴する掲示板の設置もこれからは必要になってきそうな感じです。この手法は、予約サイトとして圧倒的な支持を得た「旅の窓口」に見る事が出来ます。「旅の窓口」は、宿泊者からの忌憚のない意見を掲載した事により成功したとも思えます。理不尽なご意見の投稿もきっとありますが真面目で正当な返答は、それを覆す説得力を持つと思います。それに運営者が自分なら最終的には削除も出来ます。それが難しいなら情報コントロールしたQ&Aをやってみるのも効果的です。これからは「大きな耳の付いた」ホームページが集客に繋がりそうです。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年10月号
18.地球外知的生命体探査プロジェクト「SETI」:ネットワークこそ力なり

地球外知的生命体を探査する強大なSETIプロジェクトがある。プエルトリコに建設された世界最大のアレシボ電波望遠鏡で捉えた宇宙からの電波をカリフォルニアのバークレーにある SETIの研究室に送りそこでデータを分割してインターネットで会員に配布しパソコンで分析しその結果を送り返し探査するという。インターネットが登場する以前ならスーパーコンピューターを使っても数百年は、掛かるという計算を現在は、インターネットでボランティアの会員と結び、パソコンの余剰能力を利用して分散処理し、わずか半年で行う事が出来るという。会員は、300万人、宇宙へのロマンに駆られた人々が国境や思想を越えて参加している。数年前この話を聞いた時、「これだ!」と感じるモノがあった。中国山地の小さな温泉町の宿屋の主でもパソコンの向こうに世界を感じることが出来た。ふとした切っ掛けで全旅連のネットのお世話する事になり、現在のホームページを「宿ネット」と名付けさせて頂いた。SETIの様なプロジェクトは、思いつかないが我々「宿屋のオヤジ」にも出来る事がある。それは自館のホームページに「宿ネット」:http://www.yadonet.ne.jpへのリンクをつける事や直接予約を勧める一文を掲載する事だ。これが業界の改革という大きな力になっていく。「宿ネット」へのリンクは、仲間への結束の証であり、一文は、長い間の慣習から宿の予約は、直接出来ないと思っている方への啓蒙です。ホームページの端っこで良いですから是非、実行してください。経営者である以上、ホームページ上での利益追求は、当然です。でもその端っこにSETIの精神を出してみませんか。小さなリンクも全国3万の仲間が行えば大きな成果になってきます。

PS:旅館組合直営射的店のその後

湯原温泉の温泉街活性化の目的ながら貧弱な組合予算で行う以上、やむなく夏までの期間限定となっていた組合直営射的店ですが、飲食店組合や土産物組合、そして観光協会の理解も得られ継続して行く事になりました。「ひとりで出来ない事だからみんなでやろう。」この言葉が町を動かしました。もう一軒残っていた温泉街の真ん中にある空き店舗も持ち主の理解が得られ何かお店が開けそうです。とりあえず試験的に一ヶ月。旅館青年部や商工会青年部の協力で行えそうです。今度の店は、何にしようかな?二匹目のドジョウを狙って「輪投げ屋さん(?)」と言う手も考えてます。「公営の宿」と同じように町の飲食店や土産物屋の商売敵にはしたくないのです。かといって収益もそこそこ上げたい。よくあるギャラリーは、どうも儲かりそうもないし、インターネットカフェも無理がある。やっぱし夜店で人気の「輪投げだぁー」・・ちと安易すぎるか?年間入客数で60万人、宿泊者数で20万人、この小さな温泉町の「町おこし」どうなります事やら・・。お陰様で今年も8月までは対前年度微増です。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年9月号
17.組織加入の「メリット」「デメリット」

最近、不景気な事も有っての事でしょうが、旅館組合や○○連を「やめる」等と言われる方が多いですね。理由を聞くと答えは決まっていて「入っていてもメリットが無いし会費が高いから・・」。末端の会員からすれば当然と言えばその通りなのですが単純にそう言ってしまうのは、「何か違う?」と言う気がしてならないのです。全国組織の事は、よく見えませんが地元の旅館組合とか観光協会とか青年部などに思いをはせて頂ければ想像しやすいと思います。この組織に加入している事の「メリット」とか「デメリット」と言うのは、「受け身的」な考え方ですよね。しかし本来、あらゆる組織は、「目的の為に」設立し運営されてきたわけでその考え方の根本は、「みんなで力を合わせて・・」とか、「独りでは出来ない事をみんなで・・」と言う事であったと思うのです。青年部時代に先輩から教わったのは、青年部に入って何か与えられると思うのは間違いだ。自分が動いて青年部から学び取る意識を持て・・と言うものでした。この言葉は、青年部活動に限らずあらゆる組織に共通していると思っています。「座して利を得られない」と言う事です。今、この「座して利を得よう」とする方が異常に多いと思えてなりません。その結果が「メリットがないから辞める」と成ってます。目的が無くなった組織ならば存続そのものが意味がないのですから組織そのものを解体すれば良いですし、トップがアホでその目的が無くなった事に気ず(又は、気づかない振りをして)形に拘り(褒章とか)のであれば、そんなトップは、ほっといてサッサと辞めるべきでしょう。そうではなくて「組織の目的」は、依然として有るのに自分が「メリット」が感じられない。会費を負担すると言う「デメリット」だけを感じているなら自分自身の「組織への関わり方」に問題があると思うのです。

 地域の組織での組織の関わりは、人間関係が絡むだけに「目的」は、単純でもさらに複雑になってきます。組織は、人で成り立っています。好き嫌いも有るし、まして同業者の組織で有れば時として利害で反目する事もあります。またとかくトップは、我田引水と見られがちです。しかし受け身ではなく、積極的に組織に関わっていけば見え方も違ってきます。間違っている事は、正して行けば良いし、逆に自分の過ちにも気づく事があるかも知れません。重要な事は、常にその組織に関心を持ち、時として「お世話する」側に成る事が必要だと思います。根気も必要です。多くの場合、組織のトップは、ご高齢者が多く変化を良しとされません。田舎の場合、一つの組織だけでなく関係する団体が多くその組織の改革だけでは事が終わらない場合もあります。「積極改革」で動いていた方が、根がつきて「アホクサ・・もう付き合っていられない→失速」と言うパターンです。正直に言って私も地域の組織において、この「アホクサ」状態に陥りそうになる事があります。しかし地域密着である宿屋家業である以上、根気強く付き合っていくしか道はないのです。多くの皆さんと同様、地域の共同体である組織と「袂を分かつ」事は、地域への義務の放棄であり、リスクは、群れから離れる羊と同様にあると思えるのです。  先日、町の世話役と話していて私が「私ら若い者が・・」と言ったら、その世話役からお前はもう「若い者の内には、はいらん」と言われショックを受けました。青年部の延長の気分でいたら、いつの間にか、ご長老の入り口に来ていた様です。私の考え方ももう古いのかな・・。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年8月号
16.露天風呂の日:web実況放送

今から15年前、湯原温泉の旅館組合や商工会の若者達が集まって温泉町の生き残りについて話し合いました。そんな中で知名度アップの為には、「やっぱりイベントも大事だよね」ってことで知恵を絞って始まったのが「露天風呂の日」です。幸い湯原温泉には、有名な共同露天風呂がある。「じゃいつにする」と言う事で最初は、6月10日「ロテン」と言う案もあったのですが・・・6月26日→6・26→6テン26→ロテンブロ・・・と言う事で毎年6月26日を勝手に「露天風呂の日」に制定してしまいました。イベントの理由付けは、温泉と先人が築いた露天風呂、そしてそこにお越し下さるお客様と温泉街を支える町人に感謝するという感謝、感謝の大感謝祭。以来15年、今では主なカレンダーにも掲載されるけっこう名の知れたイベントになりました。イベントの内容は、早朝6:26のお湯取り、露天風呂大掃除、感謝の集い等の儀式に始まり、全旅館の内湯の無料解放、飲食店や商店での割引、朝市、屋台、茶席、旅館の食器のガレージセール、チンドン屋等々の街角でのパフォーマンス。今年は、初めて、この露天風呂の日をインターネットを活用して、ライブを放送してみました。イベントの様子を丸ごと多次元でインターネットで放送するという、おそらく日本初の企画です。それを素人の町の人間だけでやってしまったという無茶苦茶な企画です。仕掛けは、2つ。街角2カ所に設置したライブカメラ(数秒おきに自動的に画像をウェーブ掲示する固定したカメラ)とビデオカメラで撮影してきた画像と音声をweb上で閲覧していただく方法です。ライブカメラは、本当に今、現在の街角の様子を放送、ビデオは、2つのチームが温泉街を自由駆け巡って取材しそれを無編集でwebにアップ、約1時間遅れの追っかけライブ放送です。6名のスタッフで行ったのですが戦場の様な忙しさ。前日や当日の早い時間にNHKなどTVやラジオ局がその事を紹介してくれた事もあり、アクセスは、うなぎ登り、イベントが終了するまでに約4000人の方にご覧いただけました。イベント終了後もライブカメラは、私のホテルに移動して残し、ビデオの方も見やすく再編集してホームページに掲載していますが、これが思わぬ効果を生んでいます。後日の新聞などでのニュースでこの事を知った地元の方がこのホテル前に設置されたライブカメラの前に立ち携帯電話片手に手を振ったりして楽しそうに話しているのです。中には、お子さんを遠くに住む親戚に見せようと抱きかかえライブカメラに向かって話しかけています。要するに一方通行の「TV電話」として利用しているのです。ホームページでのビデオを見て知人達の活躍を話題にして盛り上がる若者達も居ます。この企画は、宣伝にも役だったようですがそれ以上に故郷を離れた方と残った住民の架け橋と言う副産物もありました。今回は、ほんの思いつきでやってみたのですが周到に準備して行えばもっといろいろ楽しめる企画になりそうです。このweb実況放送、次回は、8月8日の「はんざき祭り」で行う予定です。

   web実況放送:http://www.net626.co.jp/live626.html

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年7月号
15.泊食分離考察

ヘアスタイルを気にする歳でもないが、どこでも良い様なものの床屋さんだけは、お決まりの、町の散髪屋さんと決めている。あれこれと、注文をつけなくても、黙って座れば、いつものように、ちゃんと仕上げてくれる。横着者の私には、快適な時が過ごせる、貴重な場所だ。その散髪屋さんのご主人曰く、宿泊業における一泊二食付きの旅館と泊食分離のホテルとは、ちょうど美容院と理髪屋さんとの関係に似ているそうだ。理髪屋さんは、カットから、洗髪、髭剃り、整髪、そして耳掃除、マッサージまでセットになっていて、いたせりつくせりと彼にいわせれば、旅館と同じだという。一方、美容院の方は、髪の、カットから、セット、洗髪、パーマ、その他諸々、全て積み上げ型の単価設定であるのでホテルに似ているという。なるほどと、肯いてしまった。旅館における、泊食分離の考え方が、最近インターネットでの予約のを受けやすさから注目されているがこの考え方そのものは決して新しいものではなく先進的な宿では結構古くから、取り入れられていた。20年程前に、ある先輩の旅館で客室に料金表が備えられていてその中に、宿泊代、7000円、夕食、5000円、朝食、1000円、などと、細かく記載してあったのを覚えています。当時としては珍しいことなので、その先輩に分けを聞くと、夕食の料金を、ハッキリさせて、その内容を、理解頂く為と言う事でした。とかくお客様は、1泊2食付きの料金が13000円なのに何故か夕食の内容が、13000円の料理と誤解される向きがあったからです。お客様には、あくまでも夕食は、5000円の料理ですよ、と言うことを認識して頂くために、料金表を客室に備えつけたと言う訳です。1泊2食付きでいくらでもお客さまがきた時代に、これはかなり進んだ考え方でした。極まれに、対応しなければならない夕食なし又は朝食なしのお客様に対しての説明用という意味もあってのことで現在のように積極的に、宿泊のみのお客様を、とると言うことではなかったのですが。小さな宿が集合する。温泉街にあって多様化するお客様のニーズに応える為にこの泊食分離の考え方を、取り入れていくのも、ひとつの積極的な方法かと思っています。それぞれ旅館の夕食メニューを交換しあってホームページで公開して予約を取る。宿泊は、うちのホテルでして頂き、夕食は、カニ料理なら○○旅館へ、山菜料理なら、××旅館。さすがに、当日の対応では難しいと思いますが、インターネットを利用して事前に宿泊と食事の希望を頂くようにすれば、効果を上げると思います。この方法なら、自由度が高まり保養目的での長期滞在にも、たやすく対応できると思えるのだが、如何でしょう。しかしこの方法、コンビニの有る温泉町にはあまり適さないかも・・。近々、私の宿で、実験的に行ってみるつもりです。料理に個性のある旅館が多いので、メニューを集めるのがとても楽しみです。スッポン料理に山菜、海鮮料理・・これにうちのホテルの、洋食が加われば・・「何でも有り」です。6月中には、ホームページ上で、公開しますので、お暇な時にご覧ください。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿 古林伸美
                 2001年6月号
14.宿屋のネットワーク:あれこれ

全旅連(全国旅館生活衛生同業組合連合会)が主催する「宿仲間メーリングリスト」と言うのがあります。本誌でも何度か紹介しましたが宿屋稼業の情報源としては、本誌「月刊ホテル旅館」以外(ヨイショ!)では、「これに優るモノはない」と断言します・・(^^;)。すでに読者の多くも参加されて居られますがインターネット初心者の方へのアナウンスと言うことでご了解下さい。

 そもそも「メーリングリスト=MLと略す」とは、インターネットのEメイルを活用して複数の仲間と意見交換するための工夫(道具・仕掛け・テクノロジー)です。インターネットに接続されたパソコンをワープロのように使って自分の意見を書き電子メールを決められた手順で送るとその手順に従う多数の仲間のパソコンにほぼ瞬時に届き、かつ他の発言者の意見も読めるというモノです。(5年前にも同じ様なことを書いたな・・独り言です)多種雑多な情報が勝手気ままに飛び交う世界ですので、それなりの情報処理能力は必要ですがその情報量は、膨大です。しかも聞き手に回るだけでなく即座に質問もでき、その答えも返ってくる仕組みです。当然、参加者が多くなければレスポンスも悪く面白みも少ないのですが、このMLへの参加者は、現在、1500名を越えており発言時にはそれなりの緊張感もありますが、同業者の多くの意見やアドバイスは、それぞれ真剣であり頼もしいモノです。同業種の集いとして開催されるMLでこの「宿仲間ML」以上の規模の物を私は知りません。影響力も大きく、エレベーター管理料等のコスト削減方法があるメンバーから提案され瞬く間に全国に広まった話や熱海での観光新税の話が持ち上がった際に一夜にして全国の関係者に知れ渡り反対運動の火が広まったのはつとに有名です。  毎日多くのメールがMLに投稿されています。発言者は、ある程度、常連さんが多いのですが他の方は、読んでないのかと思うとそれは、そんな事も無いようで「この人は、パソコン等、触ったことも無いだろうな」と思われるような方が「いつも読んでますよ」と会合などでお声掛けくれます。隣の旅館の女将など面白い話題がMLに出てくると「ノブさん、ノブさん・・この話は、どうゆう事?」「私は、こう思うんじゃけどノブさんは、どう思う」等と3日に一度ぐらい解説を求めにやってくる。彼女は、MLは、ドラマティックで面白いと言うのです。一日に3度は、パソコンに向かいメールを開いているそうだ。コーヒータイムを一緒に過ごし「宿仲間ML」の話題に花が咲きます。全国でこんな風景が繰り広げられている事でしょう。今までは、小さな温泉町の話題しか無かったのにこのMLのお陰で遠く北海道や九州の宿の話題がまるで同じ町うちの事のように話される。ここのところの関心事は、非常識な真夜中に掛かってくる問い合わせ電話への対処方法、皆さんいろいろと苦労されています。さて今日は、どんな話題が投稿されているだろうか?メールを開くのがいつも楽しいです。この「宿仲間ML」への参加は、全旅連のホームページ「宿ネット」上で登録できます。(宿ネット:http://www.yadonet.ne.jp)

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年5月号
13.密かな楽しみ「アクセスログ」

心血注いで作ったホームページがどの程度、人々に見てもらえているかと言うのは、気になるところです。アクセスの状況は、その表面上の数字だけなら「アクセスカウンター」と呼ばれる簡単なシステムで知ることが出来ます。通常、ホームページのトップ画面に設置して訪問者数を示しています。この数字が大きいと作った者としては、それなりに嬉しいです。ホームページを運営し始めた当初は、このアクセス数だけで充分満足していたのですがその内に「どんな人が見ているのだろう」とか「どうやってこのホームページに辿り着いたのだろう」等と言うことが気になり始めます。これを実現してくれるのが「アクセスログ」と呼ばれるモノでホームページのアクセス(閲覧者)を細やかに分析してくれます。ホームページに「cgi」と呼ばれる簡単な仕組みを施すのですがそれ程、難しい事ではないので是非、挑戦してみて下さい。(方法は、お教えしますのでメールでお尋ね下さい E-mail:nobu@net626.co.jp)このアクセスログを見るといろんな事が判ってきます。どの検索サイトからどんな言葉で探して来たのか等です。トップだけでなく枝葉のページがアクセスのきっかけになっている場合も多いです。私のホームページの場合は、この枝葉が非常にアクセスを稼いでくれています。例えば「露天風呂入浴風景」とか最近では「ライブカメラ」のページが多いです。また「かしこい宿の予約方法」も根強い人気ページです。これらに共感?して宿泊のお客様になって下さった方も多くいます。昨年末に全旅連の公式ホームページ「宿ネット」にもこの新型のアクセスログを取り付けました。同時にメーリングリスト「宿仲間ml」の仲間に呼びかけて「宿ネット」へのリンクバナーの設置運動を展開したのですがこれが「宿ネット」のアクセスに凄い効果を上げ始めています。アクセスログの分析によれば、あの有名なyahooやgooなど検索サイトのいずれより宿仲間からの訪問者が多くなっています。特に協力的な福島県がダントツで「いわき湯本温泉」「磐梯熱海温泉」の両旅館組合のホームページ、そしてネットの世界では今やナンバーワンの「こいと」、「和多屋別荘」「ホテル東横」「きらくや」等が続きます。これら皆さんのホームページからのアクセスは、それぞれにyahooよりも多いのです。我が湯原温泉のホームページや「プチホテルゆばらリゾート」も末席ながら名を連ねています。これらの皆さんからのアクセスは、「宿ネット」を通じて全国の宿仲間達へ貢献しているのです。全旅連「宿ネット」のアクセスは、今や業界組織では、ナンバーワンです。これは協力いただいているトランスネット社のお力も大きいですが、この「リンクバナー」設置がホームページを開設している全施設に普及すれば消費者側で一番使いやすい本当の意味でのホータルサイトになるでしょう。最近の私の一番の楽しみは、就眠前の「宿ネット」アクセスログの分析です。右肩上がりの数字を見るのは嬉しいモノです。ここ数ヶ月、期待を裏切られたことがありません。「おっ今日は、どこの宿からのリンクが100増えた」等とパソコンに向かってニヤニヤ(不気味)している今日この頃です。ちなみに最近の「宿ネット」人気ページは、「お宿探しのお手伝い」で訪問者の25%は、このページを見ています。  

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年4月号
12.温泉町の誘客宣伝 

私の住む湯原温泉は、31軒の旅館がありますがいずれも中小の規模で総宿泊人数も2500名程度です。観光関連の組織としては、観光協会(社団法人)、旅館組合、商工会があります。31軒の旅館は、それらの全てに加入しています。誘客宣伝は、主に観光協会と旅館組合が行っています。商工会は、案内所を持っていますが誘客宣伝は、ほとんど行いません。その代わりイベント関係では力を入れてくれています。

 さてその小さな温泉町の誘客宣伝の方法ですが、もっぱら新聞、旅行雑誌、そしてささやかにインターネットを利用しています。TVやラジオ等は、目を引くイベントを行うことで露出させる作戦です。6月26日の「露天風呂の日」や、8月の「露天風呂湯けむり寄席」、クリスマスやバレンタインに行う「キャンドル・ファンタジー」等、湯原温泉は、イベントが得意です。突発的(思い付き)のイベントもすぐ行ってしまいます。キャラバンなどの宣伝隊の派遣は、県の観光連盟などで要請でお付き合いで行く程度です。これらの組織としてエージェントを回ることは、この十年来ありません。

 昨年から町が誘客の特別予算を付けてくれました。補助金特有の手枷足枷は、あるのですがその宣伝部分は自由ということで、みんなで新聞、雑誌、インターネットにどのくらいの比率で振り分けるかを協議しました。7割を新聞広告、残りの2割を雑誌、1割をインターネットと言う配分で「たたき台」が出されたのですが、不満の声が上がりました。旅行誌とインターネットの費用を増やせと言う意見です。話を聞いていると面白い傾向が出てきました。インターネットへの予算をほぼ全員が増やせと言うのです。雑誌については、問題なし、でも新聞は、そんなに効果無い。という意見です。結果、大幅に予算を修正しました。さて困ったのは、インターネットの担当者(私)です。今までお金を掛けないことを一番に考えてきたモノですからお金が使えるとなっても使い方が判らない。「ホームページの雑誌広告を出そうか」とか、「美人モデルを使用した動画コンテンツの作成」とかを本気で考えています。幾らお金があっても人任せにはしたくない。わずか100万円そこらの予算を持て余し、その使い方に頭を痛めている今日この頃です。みんなの期待は大きいし・・さて、困った、困った。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年3月号
11.続報・繁盛してます・・旅館組合直営の「射的屋さん」

昨年の休業していた射的屋さんを湯原町旅館協同組合で借り受け12月に復活オープンした事をお話ししました。今日は、その続報をお知らせします。

 町の活性化の一助になればと始めた利益度外視の「射的屋さん」ですが、今のところ「とんとん」でうまく行っています。射的屋さんは、温泉街のど真ん中にあり、立地は最高です。最初は、私や理事長や組合の役員がハッピを着て詰めていましたが、現在は、町のシルバー人材センターに派遣をお願いしています。土曜日など本来5人でいっぱいの射的コーナーに10人以上が群がり順番待ちで遊ばれています。他に「アレンジボール」と言うパチンコに似たコインで遊ぶレトロな機械があるのですが、こちらも結構人気です。お世話下さるシルバーの方々も町の活性化の為という「大義名分」があり誇らしげに働いてくれています。張り紙で「旅館組合直営の射的屋さん」、「活性化事業でやってます」、「100円で遊べます。」等と出してあるので昼間も入浴客の立ち寄り客が結構、遊んで行かれています。システムとしては、お手伝い下さるシルバーの皆さんは、お金を扱うことが出来ないので、全て自動販売機でコインにして遊びます。宿泊のお客様には、旅館のフロントで「無料遊技券」をお一人に一枚差し上げています。その券は組合から無償で配られます。温泉街ですのでやはりお客様は、休前日に集中します。現在、金、土、日曜日の週3日の営業をしています。町の人達の評判も上々で射的で使う景品の人形を寄付して下さるスナックのママさんやアレンジボールの機械の調整や修理に来てくれる元パチンコ店に勤めていた人(素人ばかりでやってますので助かります。)、共同浴場の帰りに平日の賑やかしに子供連れで来てくれる商店のご主人など応援も多いです。旅館組合としては、今年度中の事業と言うことだったのですが4月以降の継続も商工会や観光協会の協力で何とかなりそうです。やっとついた小さな灯ですがこれをきっかけに町の動きが出てきました。今までは、理論ばかりであれこれ話すだけの町づくりがちょっとだけ前進したようです。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年2月号
10.宿泊業界に改革を・・

「全旅連インターネット委員会の歩み、そして明るい21世紀」 明けましておめでとうございます。今年が皆様にとって明るい年となりますことをお祈りいたします。今回は、全旅連インターネット委員会の長として私の知りうる全旅連インターネット委員会の歴史と新たな動きをご紹介し21世紀の希望のメッセージとしたいと思います。

 今から5年前、宿泊業界のパソコン通が全旅連の会議室に集められました。総勢16名、主に青年部関係者でした。全旅連のインターネット事業推進の為です。この中に私もいました。当時は、まだインターネットの創世記。集められた委員もパソコン通とは言ってもインターネットは、素人ばかりでした。しかし数ヶ月後には全員がホームページの閲覧やE-mailが交換できるようになりました。そしてインターネットの内容を知るにつれその可能性に驚き熱心に事業の内容について話し合いました。最初の事業は、すでに補助金事業で業者に委託し始められていた公式ホームページ「旅空間」、間に業者が入ることの歯がゆさから自分たちでもホームページを作ってみようと委員が自らの手で運営する「宿ネット」を立ち上げ、公式ホームページ「旅空間」とアクセスを競うようになりました。また「左手にフライパン、右手に電話機で頑張っている小さな旅館の親父さん達へどうすればパソコンを普及させる事が出来るだろうか?」と言う事から「安く使いやすいフロント会計システムを作ろう」と自主開発した「支配人君」を当時としては画期的な低価格\45,000で販売しました。(300本販売)結果的に通販カタログ「宿願成就」になりましたがインターネットを利用した共同購入システムも試みました。凄かったのは「宿仲間メーリングリスト」です。メーリングリストとはE-mailを利用した情報共有のシステムです。3年前に50名程度でスタートしたこのメーリングリストも現在1500名と言う業界最大の情報の源に成長しました。昨年5月、委員会も再編成、公式ホームページを「宿ネット」に統合、新たに各都道府県から参加するサイバー委員も加わりました。さて昨年末、全旅連では協力企業である(株)トランスネットの「ルームバンク」が認定事業となりました。この事業は、旧委員会のメンバーの夢が詰まった事業です。それが21世紀を迎える今、ついに始動し新たな委員も関わっていくことになります。共通客室情報システム=「ルームバンク」。これは客室(空室)情報をインターネット上で一元管理し正合性を計りながらインターネットとリアルの両面で多チャンネル販売を行うという画期的なシステムです。 複数のサイバーエージェントへ登録し複雑な空室管理を行うことからの開放。販売チャンネルを条件により宿側が選択できる「宿の主体」の実現。「ルームバンク」は、我々宿泊業界仲間にとっての21世紀を明るく照らす素晴らしい事業になることでしょう。私たちの業界には私利私欲を捨て業界の発展に尽くしてこられた素晴らしい先輩が多数おられます。私もその先輩達に恥じぬように精一杯頑張りたいと思います。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2001年1月号
9.本日開店:旅館組合経営の射的店さん

温泉街における宿の繁栄は、町の活性化無しには考えられないと思っています。私は、24歳で家業に就き地域の若者のお付き合いをしてきました。商工会青年部、消防団、旅館組合青年部等々、小さな町ですから顔を合わせるメンバーは、概ねいつも同じでした。20年前に湯布院に行き中谷さんのお話をお聞きして「町づくり」の洗礼を受けました。当時は、「一村一品運動」「村おこし・町づくり」の大ブームで私の町、湯原温泉でも若者が顔を合わせるとその話で盛り上がりました。「若者の残れる町づくり」から「子供達が残れる町づくり」へ、観光面からは、湯原温泉の方向性について語り合いました。当時は、置屋が6つ程あり芸者さんも120名程度登録されていました。団体旅行が主流で小さな温泉街ながらもスナックや赤提灯が20軒あまり、ストリップの小屋も最大時には12軒有りました。こんな状態の時に「どこに行く湯原温泉」をテーマに「歓楽型」「保養型」あるいは、「療養型」・・「どんな温泉街に将来していけば良いのだろうか?」と話し合っていました。親父などには「若いモンは、何を考えとるんじゃい」と不思議がられ叱られながら、また多くの失敗を繰り返しながら「町づくりゴッコ」をしてきました。振り返って現状をみると「いったい何をして来たのだろう?」と言う気になるのです。特産品の開発も手がけました。これも多くは失敗しましたがトマトの産地だからと言うことから生まれた「トマトの粕漬け」は、現在でも土産物屋さんや旅館の売店に並んでいます。6月26日を語呂合わせから全国で最初の「露天風呂の日」として旅館の内湯を開放するなど湯原温泉のイメージアップのイベントとしての成功例もありました。しかし温泉街は、確実に寂れてきています。時代の流れと言えばそれまでですが、何とか「下駄の音の響く町づくり」を続けていきたいと思っています。

 そんな中で温泉街の小さな射的屋さんが数年前に店を畳みそのままになっていました。ご多分に漏れず後継者がいないためです。温泉街に射的場は、付き物です。それが無くなるというのは寂しい。いろいろな事情から一般の方には譲りたくないと言う所有者の理由から旅館組合で運営することになりました。宿泊者には組合から無料の遊技券をサービスで差し上げて遊んでいただく計画です。周辺の飲食店や土産物屋さんは大喜びです。「小さな事からコツコツと」誰かの選挙公約ではありますが、全国初の旅館組合直営「射的店」の誕生です。さてさて少しは、町の活性に繋がればいいのですが。これから組合の役員総出でお店の大掃除に「行って来ま〜す」。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年12月号
8.楽チン人生・あまえてごめんね

CIDPと言う病気をご存じだろうか。CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)と呼ばれる神経麻痺の病気で宝くじに当たるより希な病気だそうである。あまりにも発病例が少なすぎて疫学的調査は、国内・海外とも未だ行われていない。1992年2月にこの病気に大当たり。ファンファーレのラッパの代わりに手足の麻痺が始まった。最初は左手の小指から動かなくなり両足膝下、両腕が部分的に麻痺してきた。こんなややこしい名の病気など思いもよらないのでてっきり筋ジスと思い込み絶望し心底落ち込んだ。神経内科の治療を受けとりあえず生命に危険がないことは判ったモノの精神的な打撃は消えず落ち込んだままだった。治療法も当時はないまま退院。ホテルに帰ったモノのそれまでのような仕事は出来ない。私も他の旅館のご主人のように結構、手八丁、口八丁だった。下足番から調理までまた少々の修理なら電気から大工仕事まで何でもやっていた。身体の麻痺は、それらのほとんどを不能にした。出来る事と言えば電話番とパソコンを使った経理ぐらい。趣味の自転車やスキーともおさらばした。無様な歩き様や食事の仕草が嫌で人との接触を断っていた。気晴らしで飲む酒が過ぎてアル中になり県の保険センターのお世話にもなった。我が人生のどん底だった。
 そんな私を立ち直らしたのが家内の美穂だった。とにかく人前に引っぱり出したのだ。当時曲がりなりにも全国の旅館青年部の役員だったがほとんど出席しないでいた。そんな嫌がる私を無理矢理引っぱり出し義務感から仕事をさせた。お陰で少しずつ人の目が気にならなくなった。パソコンの技術を持っていたことも幸いした。指先の麻痺は徐々に進行したが急激に進む技術進歩がそれを上回った。近年にはインターネットも登場し否応もなく他の仕事から開放された身には、それに専念できかえってありがたい事となった。雑用も人に任す度量も出来た。

 さてこうなって来ると中なか快適な人生だ。頭の回転はそれほど良い方ではないけれどこの身体のお陰でじっくり考える時間が有る。経営のこと、町づくりのこと、業界のこと、今まで見えなかった事が見えてくる。要は割り切りだ。元気な身体が無いならその分、少々心許ない頭だがこれを使って経営してみよう。自分に出来る事で社会に尽くしてみよう。大それた考えです。動き回れば多くの人に迷惑も掛けてます。でも私にはこれしか有りません。これからもみんなに甘えながら生きていきます。

 私の病気の原因ですが最近の研究によれば免疫不全が原因だそうです。神経細胞は風邪などのウィルスに形が似ているそうです。風邪に罹った際に免疫の抗体が異常を起こし自らの神経細胞を攻撃するようになった結果だそうです。今年はインフルエンザの蔓延が起りそうとの事です。まさしく風邪は万病のもとです。読者の皆さんも何かと厳しい時節ですがお体大事に頑張って下さい。くれぐれも私のような拾いものをしないように・・。 PS:全旅連では集客に役立ち業界の情報ツールとしても役立つ「全旅連専用携帯電話」の配布事業を行ってます。詳しくはHPか、各都道府県の組合事務所にお尋ね下さい。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年11月号
7.EZ「宿ネット」と全旅連専用携帯電話

全旅連のEz-web「宿ネット」事業が正式にスタートしました。au(セルラー)&ツーカーグループの携帯電話専用HP(ホームページ)の公式サイトとして全旅連「宿ネット」が掲載されます。この公式サイトというのは、凄い事で一般のHPの1000倍から2000倍以上のアクセス(閲覧)があるメニュー画面に最初から登録されると言うことです。利用者は、特別な操作を行わなくてもメニュー画面から・旅行→宿泊→EZ「宿ネット」と進み「観光」または「ビジネス」、そして「地域別」または「料金」などで選んで希望する宿に画面上から直接、電話で予約を行うと事が出来る仕組みです。情報は当面、詳細情報のある9000の宿を掲載し随時拡大して行きます。また現在、集めている名簿情報3万軒も電話帳として掲載予定。さらにこのHPに空室情報を出す事になりました。これは希望する宿に無料で全旅連専用の携帯電話を配りそれを利用して空室情報の更新を行うものです。年内に2000台を配布する予定で以後は有料。(基本料や通話料は有料です)この携帯電話は、通常の電話としての他、画面に全旅連専用の画面があり、ここで空室情報の更新を行い全旅連からのお知らせを閲覧する事が出来ると言う物です。今まで全旅連からの情報は、全旅連→県の旅館組合→支部組合→組合員と言う経路で流れ情報の伝達に時間が掛かりました。この専用携帯電話の普及は、画期的な情報ツールとして全旅連加入組合員に集客及び経営や組織活動に威力を発揮してくる物と思われます。今や組織の行動にもスピードが要求されます。先般の熱海の観光税新設の情報がインターネットのメーリングリストで一夜にして全国に知れ渡り全国的規模で反対運動に火がついたのは業界では有名な話です。この全旅連専用携帯電話が 2000〜3000台と増えればその情報網は、さらに強力な業界の武器となり組織力は強化されます。それから「ここだけの話ですが・・」この専用電話を持つ方には特典があります。EZ「宿ネット」のHP上でこの携帯電話を持ち空室情報を出す宿は、優先的に上位に紹介されます。利用者側の立場で有益な情報を上位に掲載すると言う意味からです。小さな画面で表示する携帯電話においてこの上位掲載は、告知に於いて絶対的に有利という事なのです。サアーみんな、今すぐ紙に「全旅連専用携帯電話を頂戴!」と書いて全旅連事務局に FAXしましよう。FAX:03-3263-4428(〒番号、住所、施設名、代表者名、担当者名を書くこと)また全旅連HP「宿ネット」上の「宿主専用ページ」からも申し込めます。 (http://www.yadonet.ne.jp)

※注意:EZ「宿ネット」の施設情報は、全旅連「宿ネット」の詳細情報と連動しています。したがってEZ「宿ネット」上で施設を紹介させるには事前に全旅連「宿ネット」に詳細情報を登録する必要があります。登録用紙は、各都道府県旅館組合に用意してあります。(登録も無料です)

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年10月号
6.携帯電話って凄いね

この8月の集計をしていて「アレッ!」と吃驚したことがあります。それは携帯電話用に作ったホームページ(HP)をご覧になってお越し下さったお客様が5組あったことです。人数にして12名様、数字としては大したことはないのですが、これが何の努力もせず、ただ「どんなものかな?」と言う気持ちから遊び程度で作り検索サーバーにも登録せず、ほったらかしにしていたモノをご覧下さって予約になったという点で吃驚した訳です。もともと私は、情報量を限定される携帯電話のHPを馬鹿にしていました。「言いたい放題、書きたい放題出来るのがインターネットの良いところ」場合によってはラジオ放送やTVも流せる。それに対して携帯でのインターネットなど1ページあたり5kbと言う情報量、これは文字数に換算すると約200字程度です。画像も基本的にモノクロでホントに小さな(マッチ箱の半分ぐらい)しか表示できません。「こんなモノ使えるか・・フン」てな気持ちでした。しかし限定された環境の中で確かにこれは素晴らしい情報ツールになることに気づきました。上司の命令で「それ行け」とばかりに何の準備もせず飛び出した出張先での宿さがし、急に決まった家族旅行、ドライブ中に今日の宿泊先を探すとき等々、これは確かに素晴らしい情報源になるのです。だいたい元々電話だからHPの「電話する」ボタンを押せばあらかじめ簡単な情報とは言え選んだ旅館やホテルに直ぐ電話が掛けられる。詳しいことは電話で聞けばいいのだ。「これは素晴らしい!」と気付いたわけです。それに携帯電話は、誰でももっている。パソコンを使ったインターネットの利用者は約2000万人と言われます。携帯電話の普及は5000万台。大学生の息子に「みんなどんな使い方をしてる?」と聞いてみると「退屈な授業中とか、みんな下を向いてポチポチやってる」と言う答え。確かに駅で電車が来るのを待ってるときなど若者がポチポチやってるのをよく見かける。「そろそろ本気でやってみよう!」とパソコンで携帯用のHPを作っては、高校生の娘にポチポチやらせて携帯に表示させ、親子の会話を楽しんでいる今日この頃です。

全旅連情報:携帯電話のインターネット方式には3種類あってNTTドコモの【i-mode】形式(普及率55%)とau(旧セルラー)&ツーカーの各グループの【EZ-WEB】形式(普及率30%)が主なようです。その各HPには携帯電話のメニューに最初から組み込まれている「IDページ」と各自が勝手に作成した「勝手ページ」と呼ばれるモノがあり、アクセスの状況がまったく異なります。「IDページ」になれば「勝手ページ」の1000倍以上のアクセスが発生します。全旅連のインターネット委員会では両方式に対しHP掲載を持ちかけていましたが、この度、auグループからお声が掛かり【EZ-WEB】方式での「IDページ」として宿泊情報の発信を行う事が決まりました。NTTドコモ及びJホーンには引き続き交渉中です。情報は「宿ネット」のモノを利用しますので全旅連加盟の皆さんでまだ情報登録されていない方は、お早めに登録して下さい。登録の用紙は、各県の組合事務局に用意してあります。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年9月号
5.インターネットにおける宿泊予約の一元多チャンネル化
トラ社「ROOMBANK」について

Web上での集客システムは、雨後の竹の子のようにいろんな切り口で新しいサイトが誕生しています。雑誌などへの掲載と同じ手法でチラシ的なホームページを作成掲載するものやバナーなど見出しから宿独自のオリジナルホームページにリンクさせる広告型なども多いです。しかし主流は、Web上で空室情報や宿泊プランを掲載しホームページ上で予約を受け付ける電子エージェント型でしょう。この場合、宿側は、空室情報の更新や宿泊プランの見直しなどの作業を頻繁に行う必要があります。私の宿の場合、広告型のホームページには載せていませんが予約サイトは、5つのサイトに登録をしています。1.湯原温泉のインターネット委員会が運営する「カランコロン大通り」、2.全旅連「宿ネット」、3.潟gランスネットの「やど上手」、4.日立造船の「旅の窓口」5.オリジナルホームページの5つです。このうち「カランコロン大通り」「宿ネット」「やど上手」の3つは、実は全て潟gランスネットの「やど上手」の情報リンクで処理していますので1回の作業で同時に情報更新できますが、他の2つは、また別の方法でそれぞれに更新作業を行う必要があります。合計3つの予約サイトに向けて一連の作業を行っているのですがこれが非常に煩わしいのです。現在、予約全体の7割がインターネット経由だけにこの作業をおろそかにすることは絶対に出来ません。恥ずかしい話ですが一つのサイトの更新を忘れダブルブッキングを3度ほど経験しました。いずれも直前の予約で満室状態の時にお客様がお越しになられ友人の宿の助けで事なきを得ましたがバケツ一杯の冷や汗を流しました。このいちいち各予約サイト毎に行う作業を軽減できるシステムが出来ないモノだろうかと2年前から考えていました。これが出来れば宿の情報の信頼性も高まり、よりお客様のWeb予約も本格化すると確信し当時から全旅連の「宿ネット」で協力関係にあったトランスネット社に相談していました。昨年本誌でも紹介された「湯原温泉観光LIPシステム」が最初の試みです。これは単に町内の宿の空室情報を共有し観光案内所や旅館組合、観光協会などの窓口案内とインターネットで集客するという単純なシステムだったのですが、今回トランスネット社は、このアイデアを拡大し宿の空室を商品の在庫に見立てた「共通在庫システム」を事業化12月の立ち上げを目指しています。名前は「ROOMBANK」、各宿は、宿の詳細情報、宿泊プランをこの「ROOMBANK」一カ所に登録し、その後、日々の空室情報を更新すればその情報を他の宿紹介の予約サイト及び従来のエージェントにリアルタイムで転送し共有するというシステムです。成功の鍵は、宿と予約サイトの参加数に掛かっています。全国3万軒の加盟する全旅連がこのトランスネット社と業務提携しており協力関係にあることから宿の参加については、比較的スムーズに行くと思います。また先に書いたような宿側の理由は、きっとそれらのサイトを運営される皆さんにも理解していただけると思います。そうなればこの「ROOMBANK」の成功の可能性は、高いと言えます。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年8月号
4.【インターネットが危ない・・大手エージェントの反撃!】

私は、今、インターネットの先行きに危機感を持っています。 今年に入り第2次ITブームと言うか、本格的IT時代の幕開けというか・・次々と新規の宿泊業界を取り巻くITビジネスが立ち上がっています。その多くは、IT初期の広告媒体としての事業であったり、町の旅行業者のIT版という程度で一過的なものですが、(同業者が食い物にされているのは不愉快極まりなし)YAHOO見られるようなインターネットの「要:かなめ」とも言うべき検索サイトが大手旅行エージェントと組み既存の在庫(客室)を生かして従来の手法そのままに商売するというのは、どうにも合点がいかないと言うか許せないのです。大手エージェントがYAHOOにバナー広告を出すというのなら問題ないでしょうが、YAHOO利用者がIT検索をしていて無意識のうちに(YAHOOは意識的に)特定のエージェントのサイトに誘導するのは、情報を扱う商売だけに違法では?とさえ思えるのです。まるでH系のホームページのごとくイヤらしい。インターネットは大きな公の海、検索サイトは、その水先案内人です。その案内人が有る意図を持って情報を操作する。これは利用者への裏切りでありYAHOOの精神的自殺行為です。

インターネット商取引の流れは、この1年で大きく変化しています。当初ITは、「メーカー」→直「消費者」と思われていました。しかしIT市場もその「利便性」と「安全性」「確実」等の点において消費者から信頼を得た「楽天」に代表されるITデパートサイトに集中しつつあります。一方、我々宿泊業界は、これまでITに寄せる意識の低さからIT市場を甘く見すぎ、あまりにもいい加減な対応に終始してきました。端的な例が日本観光旅館連盟の「やど日本」というITサイトです。大手エージェントへの恐れから腰の引けた業界を一気にITの海に乗り出させるきっかけ(赤信号をみんなで渡る)にはなったモノの盆暮れの繁盛期に空室情報も在庫も無しにホームページからいきなり【予約】は、乱暴すぎます。消費者は、2軒もお断りの電話が帰ってくれば嫌になります。これは旅館やホテルの予約サイト全体の信用を落としています。早急にサイトを閉じるか、正確な空室情報を発信している宿だけに【予約】ボタンを付けるべきです。また宿の中にも無責任なモノが目立ちます。せっかく各予約サイトでは、簡単な手順で情報更新できるシステムを用意しているのですから正確な情報を発信しましょう。このままではITを本当に活用して自立した経営を目指す多くの宿仲間の若い芽が不心得な同じ宿の仲間により潰されてしまうことになります。我々が消費者に対して欠けていた「利便:サイトの集中」「安全:正しい情報」「確実:確実な予約」をまず自らホームページを運営する宿から実現させようと言う動きが始まっています。危機感から団結しようとしています。宿仲間がそれぞれのテーマで宿の仲間のHPを掲載するページを作成し、さらにそれらを集中させるサイトを作り、各宿は、自分のHPにそこにリンクさせるボタンを取り付ける。今まで草の根でやっていたサイトを集中させ消費者への利便性を高めると同時に横軸での連携からアクセスを増やす。元よりITに熱心な自ら情報発信している宿が集まりますから予約の信頼性も高いと信じます。全国の「ホームページを運営している宿」の皆さん団結しましょう。このままではIT世界でも屈辱を受けることになります。まずその手始めに以下のアドレスの「ホームページを運営している宿」に登録して下さい。折り返し私からのメッセージをお送りします。http://www.net626.co.jp/

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年7月号
3:宿仲間メーリングリスト「もう一つのインターネット」

かつて旅館の経営者は、閉ざされた情報の中で営業してきました。温泉街など集中して存在する地域でもそれぞれは商売敵であり経営のノウハウは、おいそれとは教えてくれません。組合や観光協会などでの共同宣伝は、行うものの一歩玄関を入った宿の中の事は隣の旅館に対しても鉄のカーテンを引き秘密でした。ところが面白いもので地域を離れた旅館同志となると以外に何でも話せるものです。また規模や形態が異なれば、これも鉄のカーテンが開かれたりするのです。昔から旅館のご主人が広域での会合に好んでお出かけになるのは、以外にその様な機会にいろいろな経営のノウハウの情報を得ようとされたのが要因かも知れません。今から12年前、私が全旅連の青年部役員で出向していた時にパソコン通信(インターネットではない)を利用した旅館のネットワークが作られました。名称は「RUN=旅館ユースフルネットワーク」、PC−VANと言うNECの主催するパソコンと電話線を利用した文字情報しか利用できない限られた世界での通信方法ですが当時としては画期的な情報システムでした。全旅連青年部ではこれを活用して「宿の悩み事相談」や「金融対策」「仕入れ価格」など経営のノウハウが教え合われていたのです。キャッチフレーズは「隣の宿には聞けない話しも全国の仲間となら話し合える」と言う意味のことを話して仲間を勧誘していたと記憶しています。悲しいかな、この情報ネットワークは、先駆過ぎて参加者(発言者)が少なく2年で廃止されました。開き掛けた鉄のカーテンは、再び閉じたのです。時は過ぎて1996年7月、あの旅館業法の改正や特消税撤廃で活躍された嬉野の小原健史さんの呼びかけで全旅連にインターネット実施委員会が作られました。ここではあらゆるインターネットの可能性を試みたのですがホームページの開設以外に「ml=メーリングリスト」と言うE-MAILを活用した情報ネットワークが構築されたのです。これは、加入するメンバーの誰れかが発言するとそれが全員に伝わるシステムで文字以外にもweb-TV放送や綺麗な画像も送れます。RUNから10年ついに鉄のカーテンは開かれました。開設から1年たった6月現在の加入メンバーは、約1200名しかも毎日5〜10名と申込みがあり増えています。今ではあまりの情報の多さに情報の交通整理が必要になりテーマ別に【全体】【ペンション】【温泉宿】【都市ホテル】【省エネ】【仕入れ】【集客】【金融】【外人受入】【B&B】【営繕】【経営】等々に分類を設定しているほどです。一日のメール数が300件を越えたこともありました。全旅連からの情報や全国の出来事が瞬時に伝わります。先般もある有名温泉で特消税に変わり「観光振興税」が地方自治体により新設されると言う情報が流れましたが、一夜にして反対運動の体制が整いその自治体に対し猛烈なFAXや電話などの陳情が行われ数日で廃案になったのは、我々の世界では有名な話です。宿泊業界も今、大きく変わろうとしていますがその原動力にこの「宿仲間ml」は、なっています。

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年6月号
2:インターネット旅行エージェントの手数料考察

インターネットの浸透は、あらゆる分野の流通に変化をあたえており「メーカー→消費者」と言う図式は、観光産業に置いても例外ではなく旅行の個人主義化(団体離れ)と相まって加速度的に進んで行くと思われました。しかし我々宿泊業界の取り組みは、既存の旅行エージェントへの遠慮からか先駆的な一部の宿を除いて全体としてホームページの立ち上げや積極的な集客手段としての活用に立ち後れた感が拭えません。「波には乗り遅れたくない」と言う気持ちから結果的に多数の宿は、無料でインターネットに情報を掲載して予約まで取ってくれる手軽なバーチャル旅行エージェント(例えば:「やど上手」や「旅の窓口」等のホームページ)に依存することになっているのではないでしょうか。多くのITエージェントは、現在、送客?手数料を5%から8%に設定し旅館もホテルも同じ手法で宿に負荷しています。本来、情報の掲載料とそのメンテナンス、そして通信費でこの手数料は決定されるべきモノと私は思っています。この考え方は、宿泊情報誌「例えば:じゃらん」等への情報掲載料(少々高すぎると私は思いますが・・)と同じという解釈です。確かに雑誌などに比べるとリアルタイムでの空室情報の発信やお客様からの予約をfax送信するなどインターネットの機能を利用して一見バーチャルな旅行業者の窓口を思わせる手法ですが実際には、それは単にコンピューターのシステム(トラフィック)が動いているだけです。結果的に発生する予約も1名のビジネスホテル利用\5000の時も100名で温泉旅館\20000の利用の時もまったく同じトラフィックで動かしているのに手数料が異なるというのは変でしょう。その費用は、手数料という考え方でなく掲載料+メンテナンス料+通信費と考えるのが正しい。それも成功報酬の形で予約1件につき\100とかで頑張ってもらいたい。現在は、まだ導入期と言うことで恐らくどこのITエージェントもペイラインには乗ってないでしょう。また多くがホテルと旅館の扱いを同じシステムで行っており運用費の回収を料率で行わなければ低価格でのビジネス利用の場合など一律\1000とかの高額の負担ではビジネスホテルなど掲載してくれないと言う事情も理解できます。しかし今後、加速度的に増大するであろうインターネットでの宿予約のプラットホームであるIT旅行エージェントが、いつまでも過去のリアル旅行エージェントの真似事をするというのは、絶対に許せません。将来にむけて是非、お考えいただきたいモノです。また私たち宿もこのインターネットの世界は、現市場構造の二の舞にはならないように頑張りましょう。あくまでも主導は「やど」でなければいけません。インターネットの活用は、客室を自らの手に取り戻す最後のチャンスなのですから。 

月刊ホテル旅館(柴田書店):原稿:古林伸美
                 2000年5月号
1:警告・ホームページは自らの手で・・

「2000年に入りホントにフィーバーしちゃいましたね。」私と同じくインターネットでの集客に努力している仲間との会話です。改めて分析して見ると昨年の秋以降、前年に比べて5%〜20%もネットでの予約が増えている。それも加速度を増している。嬉しい限りなのだが、チョット不思議な気もした。それはインターネット人口も2000万人と凄い勢いで増えているがその分、全国の宿のホームページも当然増えており、宿のHPの少ない時ならともかく逆に私の所など早くからHPを開設しているところでは、有る程度、減少してくるのではないかと思っていたからだ。そこで久しぶりに検索サーバーで全国の宿が現在どのくらいHPを立ち上げているのか調べてみた。yahooを使ってカウントしてみると以外にも旅館、ホテル、ペンション、民宿を合わせても4000余りしか検索できない。重複部分や団体、業者のHPを差し引くと3000余りと推測できる。この数字は、昨年と大差ない状態。昨年の同時期に比べ倍近くの伸びを示すインターネット人口の中で、どう考えてもおかしい。そこで推理し原因の幾つかを思いついた。1.今だエージェントの神通力を信じ遠慮あるいは恐れている。2.トップに高齢者が多く理解がない。3.組合あるいは、電子エージェントのHPに掲載されたことで自社のHPがあると勘違いしている。4.充分な集客が独自に出来ていてHPの必要性を感じていない。以上の4つだ。

しかしまだ納得出来ない。1.に該当する宿は、全国で4000軒程度だろう。全国に7万軒あると言う宿泊施設からしてみると微々たるモノだ。2に該当する宿は、かなりあるだろうが若旦那も居ることだろうから今や大した費用もいらないHPの作成に主の決済も必要ないだろう。よってこれが原因というのも違うようだ。3は、可能性が高いぞ。特に電子エージェントの台頭は、それ自らが送客による手数料が目的であり掲載される情報も画一的とは言え画像データも多くそれなりの実績も上げておりこれで良しと思ってしまうかも。4は大変羨ましい話だ。今時こんな宿が有るのだろうかと思うかも知れないがこれが結構多い。事実、私の温泉郷の中でも31軒中8軒は、こんな感じの宿。いずれも収容20名以下の小さな宿。と言うことで3と4が最大の要因と言う結論に至った。でも4はともかく3の要因で勘違いしている宿は、手間は要らないだろうがインターネットの恩恵も受けられない。情報は、自らの手によって発信されてこそ意味を持つ事に気付いて欲しい。


<ここから下は、1997年頃、業界紙に書いた記事です。>
見 出 し
1.脱!金太郎飴(1997/04)
2.本音で語ろうHP・・!(1997/05)
3.ホームページ造りは泥沼?(1997/06)
4.補助金禍(1997/08)
5.宿六女将のフロント会計(1997/09)
6.検索サーバーの恐ろしさ(1997/10)
7."96 夏の状況(1998/11)
8.HP作成に危険はつきもの?(1998/01)
9.HPデーターの一本化(1998/02)
10.日観連HPの危険性(1998/03)
11.宿願成就(1998/04)
12.OCNエコの有効利用(1998/5)
14.よっスグレ物!(1998/07)
15.人に優しいパソコン!(1998/08)
16.地域情報共同発信!(1998/09)
17. 夏商戦異常有り(1998/10)
18. 「宿ネット」繁盛記(1998/11)
19. 宿のネットワーク(1998/12)
20. 可愛いパソコン!(1999/01)
21. ドック・イヤー(1999/02)
22.メールニュースを活用(1999/03)
23.1998年インタ予約の分析(1999/04)
24.魔法使いの時代は終わった(1999/05)

その1:脱!金太郎飴

パソコンブームの中でwindows95の到来から1年とちょっと・・そのおまけ(?)で付いてきたインターネットのうねりがここまで世の中を揺るがすとは当初、誰が考えたでしょう?目敏くビジネスにしようと誰もが考え、その多くが挫折していった中で欲を捨てて事業を進めたところは最近そこそこビジネスのチャンスを掴みかけているようです。観光関連もその例外ではないようです。昨年の夏頃は、毎日のように来ていたホームページの作成などの怪しげなDMもこの頃はめっきり少なくなりました。その意味において全旅連が行ったわずか2000円でホームページ?を作成するという「旅空間」は、詐欺みたいなホームページ業者から無知な宿屋を守った功績は大きかったと思います。一月に2万から5万円もふっかけた業者も今はなりを潜めました。しかもトランスネットの「宿上手」のように無料でホームページを作成しているところまで現れては、もう悪徳業者もお手上げでしょう。でも「旅空間」にしても「宿上手」にしてもそこに載っている宿のページは単なる情報でしか無くとてもホームページと呼べるものじゃないですね。所詮、データーでしかない。もともと宿のパンフレットは客室一つとっても画像で出せば何処の宿もみな一緒なんですから。専門の業者さんで作れば手慣れている分だけ金太郎飴みたいな感じになってします。これからは個性化が必要でしょう。電子版パンフレットじゃなくて宿の月刊誌や季刊誌にすれば面白そう。

その2:本音で語ろうHP・・!

宿のホームページを語るときに「所詮、宿の規模しだいでホームページも決まりですよね!」と言われる方がいますが、果たしてそれはどうでしょうか?検索サーバーで探してみると最近はずいぶん宿独自で作成したホームページが増えてきました。業者に依頼して作成させたもの宿の主人が頑張って夜なべして?つくったもの等々。いろいろ見てみると小さな宿屋やペンションのホームページの方が元気が良いし、だいいち面白い。面白ければ見てくれるしそれが 頻繁に更新されていればリピーターも増えその結果として「あの宿は面白そうだから行ってみよう」と言うことになりそうです。大規模の宿のホームページは、格式なんかにこだわってしまい、どうしても画一的な面白くないホームページになっていることが多いです。その中で何とかアクセス数を稼ごうとプレゼント企画で客?を釣る。それはそれで確かに宿のホームページを見させるための手法ではあるけれども集客にはとても結びつかないようです。どうしても人任せで作成してしまうものだから本音の部分が出てこない。これからはインターネットの世界でのエンターテーメントとしての宿六や女将が登場する必要がありそうです。凝ったショックウェーブやJAVAといった手法より内容が面白くないといけませんね。しかしよく言ったものです。「インターネットの世界は10日が1年のごとく移り変わる」私自身、この一年間が信じられないスピードで過ぎ去っていきました。

その3・・HP(ホームページ)造りは泥沼?

インターネットでの情報発信には、その情報量に事実上制限が無いと言うことで、私なんかもつい、ダラダラと「載せとけば見てくれるだろう。」と自分の宿のホームページを粗製乱造してしまうのですが、考えてみれば見る方のお客さん?には迷惑な話で知りたくもない情報のために接続料(通話料金)を払わせているのです。サーフィンして頂いている間に退屈しないようにそれぞれのページに面白い?小話を挿入してみたりいろいろ小細工はしているのですがそれがホームページを益々、迷路にする事になってしまいました。宿泊予約の料金掲載のシステムにしても同じであまりに細かく分けていたモノでお客様から「こんな場合は、どうなるの?」なんて問い合わせのメールが多く、そのメールへのご返事に深夜までパソコンに縛り付けられる事が多かったのです。先々月から「これではいけない」と予約システムのページに少し手を加え宿泊プランを具体的に見ていただけるよう工夫してみました。「この料理、このお部屋、このサービスで¥16千円です。」 と いう具合です。これは、あまりに当たり前のことに私が気付かなかったのですが、どうもこのような一人よがりのページに陥りやすい面が情報量に制限が無いと言うことで成りやすいです。最初は、ねじり鉢巻き脂汗を出しながら、馴れると面白く「夜這い虫」、次には、担当に締め切りを迫られる物書きの気分、さてその次は・・・?ホームページの作成は、いったん始めると泥沼のようです?

その4・・補助金禍

最近、某旅館組合が予約システムを搭載したHP(ホームページ)を作成し地域情報の発信を開始したと地方新聞等で賑々しく報道されました。地域情報に10軒少々の旅館の紹介とそれに予約のシステムが搭載されて制作費はあっと驚く1000万円に近いお値段。これはきっと素晴らしいHPに違いないと早速アクセスしてみたところ、ごくごく普通のHP(ページ数50位?)にこれまたありふれた手法の予約システムが搭載されたモノ。 「また、やられたか!」と言った感じです。しかもその予約システムの運営費としてさらに月々1万円が旅館には負担させられる。(立派なHPですので是非ご覧下さい。編集部にお問い合わせ下さればURLをお教えします。)「ホームページを作るのなら今がチャンス!今なら県や町から補助金がたんまり出るよ。」と誘われ「他地区の組合に遅れて成るものか」と言う変な焦りから手を出したようです。事実、旅館側の負担は2割程度ですんだようですが、月額1万円+パソコン購入費で初年度合計6?万円+翌年から12万円が結果的に負担となります。HPの制作費としては信じられない価格です。しかも独自の開発に費用が掛かったという予約システムは、現在、全旅連で安く(月2千円程度)高機能なモノを開発中(9月公開予定)で、すでに公表しており一言相談があればこんな事には成らなかったはず。この事例など自治体の補助金政策の被害者としか思えませんね。

その5・・【極秘情報】宿六女将のフロント会計システム

左手にフライパン、右手に電話機を持ち頑張っている全国の宿のご主人達がいる。そして仲居さんと一緒になって走り回っている女将さん達も沢山いますよね。実際に全国の宿の大半は、このような小規模の宿でご主人が包丁を持ち女将さんがそれを運びながら頑張っているところが数の上では圧倒的に多いのです。しかも一仕事すんだ夜の一時、まだ帳面付けが残っている。小規模の宿だからと言って経理やフロント会計の処理は、大きなホテ ルとそんなに違うものではないのです。大変なんです。しかも事務処理を軽減化するパソコンの導入は、小規模の宿には相対的に高価で思った以上に進んでない。全旅連でインターネット活用の推進を進めようとした時、この経理の合理化も同時にやらなければと思いました。そんな訳で全旅連で9月から始まる旅館ホテル用品の通販事業の目玉商品にWindows95とマック対応のパソコンソフト「お手軽!簡単フロント会計システム」を加え ることになりました。スペックは、5部屋の小旅館から100室の中旅館までの旅館ホテルに対応、パソコン本体は、その辺の通販でも買えるごく普通のもので稼働し、プリンターも購入して、さらにインターネットも始める為にプロバイダーに契約してパソコンまで含めた全費用が5年リースで月1万円以内で収まるというお手軽さ。しかし内容は、旅館自らの手による開発(トランスネットと共同開発)だけにチェックインから請求業務、日報、月報、顧客管理までと100万円を越える現在販売されている会計ソフトと比べても同等か、拡張性の考慮という意味から考えると数段上のスペック! これ9月発売に向けてただ今、最後の調整中!今、買い換えやこれから始めようと言う方は、これを見てから決めた方が絶対良いですよ・・(^_^)/

その6・・・検索サーバーの恐ろしさ?

インターネット上のホームページをキーワードで探すサービスの凄さと恐ろしさに身が震えました・・お〜こわ(怖い)。最近メキメキと売り出し中の検索サーバー「goo」を使い、まず「古林伸美」で検索してみたところ15件のホームページが見つかりました。続いて「プチホテルゆばらリゾート」で187件が見つかりホームページのどこかに以上の言葉が記載されていれば、かなりの精度で見つけてきます。試しに少々名の知れた友人の名前をキーワードに検索してみると見つかる見つかる・・凄いです!何気なく書いた(投稿した)電子掲示板のホームページの記事まで見つけてきます。これって下手にアダルトのページ何かに投稿してたら赤面モンですね!温泉地名をキーワードに検索すると「山代温泉」=556件、「別府温泉」=272件、「嬉野温泉」=337件、ちなみに我が「湯原温泉」で検索すると430件でした。ホームページの詳細は、公的なモノもあれば個人の旅行記までありましたが、何れもなかなか興味深い内容のモノばかりです。お遊びで試みたのですが、これって情報発信のバロメーターになりそうですね。雑誌へのPR記事や名刺に自社のホームページのURLhttp://www.meshnet.or.jp/こんな長々としたもの)を書きますが、これは今後は必要なさそうです。「ホームページあるから見てね!」とだけ記載しておけば興味があればこのような検索サーバーに名前や宿名を入力して容易に見つけてくれます。お〜こわ!

その7・・・"96 夏の状況

やっと戦いの夏が終わりました。温泉地にあって小規模のホテル形式の宿では、秋の団体需要はあまり見込めません。8月が一番の繁盛期になります。インターネットによる予約は、特に好調で8月は、組数の50%以上を記録しました。おかげで同期としては新記録です。導入当初は、お客様も私もある種の特別な感じを持っていましたがこれぐらいになると当然の事のようになります。チェックインしたお客様が全組「インターネットで予約・・」と言うことも少なくありません。レストランでお客様とお話ししていると他のお客様も話しに加わり賑やかなインターネット論議に発展していくこともあります。中には、プロの方もいて新しい技術のお教え下さり大いに助かっています。何分にもDOSはともかくwindows95は、いまだに見よう見まねでろくすっぽ本を開いたこともないのですから・・ははっは。こんな私でもホームページは出来るし商売に充分活用しているのですから世の賢明な宿六さん達が本気になれば素晴らしい宿のホームページが出来ると思うのですがそれがなかなか進まないのは、やはりエージェントさんへの遠慮なのでしょうか?エージェントさんだけしか見られないホームページを作成しリアルタイムで空室情報や企画商品の案内をするなどの活用も双方に意識があれば容易に実現できると思うのです。「宿→インターネット→お客様」でなく「宿→インターネット→エージェント→お客様」と言う図式も積極的に考えられる。これは中小のエージェントさんには、大変な武器になると思いますよ。「賢い宿の予約方法」を掲載しているこの私が発言することではないかも知れませんが・・。

その8・・・ホームページ作成に危険はつきもの?

私のホームページの人気サイトの一つに「今日の露天風呂、入浴風景」というのがあります。なかなか毎日というわけにはいかないのですが、湯原温泉の名所の露天風呂をデジタルカメラで撮りアップしています。皆さんの期待は、もちろん美女の入浴風景。しかしそんなもの滅多に取れるものではありません。電子メールでお叱り受けております。勢い決死的な撮影になるのです。普通の一眼レフならば、300ミリとか500ミリとかのレンズで遠方からの撮影も可能ですが、使用するカメラは、安物の単焦点の電子カメラです、ひたすら接近戦で迫るしかありません。目的は、あくまでものんびりとご入浴を楽しまれている皆さんのお姿をインターネットを通じて皆さんにお伝えすることによって少しの間でも浮き世離れした気持ちにしたって頂こうと言う事なので、決して盗み撮りでは行けません。全てご了解いただいた上で撮影しております。と言うわけで・・頼りは口だけです。何気ないフリをしながら適当に話しかけ警戒心を解きながら被写体に接近します。そして簡単に趣旨を説明し撮影するわけですので、ヒット率は、極端に低いワケです。だいたいがカメラをもって接近するだけで、警戒されシャッターを構えると猛烈なお叱りを受けることになります。お察し下さい・・!決して下心は、ないんですが?被写体との距離は、1.5メートル位です。今にきっと顔にアザが出来ることでしょう。絶対に・・あ〜怖い!

その9・・ホームページのデーターの一本化

インターネットに早くから取り組んだ宿泊施設は、今ある種の混乱期に差し掛かりました。勿論、自社で自主作成し直接運営してきた宿は、まず問題ないのですが、ホームページを旅行誌などの広告と同じ感覚で考え古いデーターを出しっぱなしで運営している宿の場合です。複数のホームページを持つ事によりそのメンテナンスがおざなりになっているのです。政府登録旅館など全旅連・国観連・日観連のそれぞれにホームページを持ちその上、各種の野心的な宿や旅行関連のホームページを運営しているベンチャー企業のホームページにまで宿の情報を掲載し尚かつ、地域の組合などにも同じく情報を掲載しているというひどい場合もあります。立ち上げの時間差からそれぞれバラバラの料金を掲載している場合など容易に想像できます。お客様は、検索サーバーで宿を探すわけで仮に全文検索を宿の名前で行った場合など一つの宿のホームページが多数見付かりそれぞれバラバラの情報が掲載されていたとしたら混乱します。それはインターネットによる情報の信頼性を落とす事でしかなくなんとしても避けたい状態です。しかし現実には、メンテナンスをおざなりにしている業者や対応の悪い業者も多く見かけられます。これは大きな団体のホームページを運営している業者にも言える事です。 私の加盟する全国組織の団体の「旅○間」というホームページなど宿の名前の間違いといった根本的な情報の更新さえ申し入れてから一ヶ月以上かかった等という馬鹿げた事さえありました。ベンチャー企業であるため自社では、ホームページのメンテナンスすら出来ない状態だったのです。皆さんくれぐれもご注意を!

その10・・日観連の予約システムの危険性

 (または・・・猫に小判的予約システムは危険) 私は今、心配しています。全国組織のある中核旅館団体に置いて(仮に「日観連」とします)全会員の宿でインターネットによる予約を開始すると言うことですが、それによる混乱が成熟してきたインターネットによる予約の信頼性を落とす事になるのではないか言うことです。現状においてインターネットによる予約を行っている宿は、一生懸命研究し非常に慎重にそのシステムを運営しています。その実績は次第に上がっており、当初予想されたよりずいぶんと早くメジャーな集客のためのシステムになって来ています。ところが日観連に置いては、その組織の存続の為か、本来なら充分にインターネットの特性を理解した上で行って欲しいこの予約システムを猫も杓子も?・・全ての会員に与えてしまおうと言うのです。日観連においてはファックスによる予約申し込みのシステムを採用したようですが、ハッキリ言って現状に置ける宿のOAに対する知識は、格差が激しくパソコンはおろかファックスでさえ充分扱えるかどうか怪しい宿も多数あります。ファックスのための専用の電話線がない、その為、電話と切り替えて使用しているが扱えるのは、そこの若旦那ただ一人でその若旦那が青年部の寄り合いで出かけようモノならファックスの送信にひたすら「もしもし・もしもし」と答え続ける年老いた女将さんか?はたまたその電話すら満足に受け答え出来ない客室係さんしかいない。こういう末端の状態が目に見えるのです。予約を申し込む消費者には、そのシステムの性質上、他の一生懸命頑張って万一の不手際をなくそうと努力している宿の予約システムも日観連の予約システムも見分けは付かないのです。せめて充分に理解できる希望者だけへの予約システムの取り付けにならないモノなのでしょうか?ご検討を・・日観連様!

その11・・宿願成就(風が吹いて桶屋が儲かる話?)

全旅連が行っているプラットホーム事業がいよいよ稼働しました。(詳しくは本誌○○号または月刊ホテル旅館10月号をお読み下さい)「宿願成就」は、その事業の核と言うべき業界のカタログ本の名前です。ご存じのように全旅連3万軒の会員の殆どは小規模な宿です。小規模ゆえに大きなロットでの仕入れが出来ずコスト高に喘いでいます。その会員達と今まで商社に押さえられ販路に苦慮していた宿用品の供給業者を結びつけようと言うプラットホーム事業、これを評して三方一両得。全旅連は、大きな組織です。しかしその大きさ故に会員の声が聞こえにくくまた組織の意志も伝わりにくい体質でした。「宿願成就」は、確実に会員に届く通信手段でもあります。しかもそれは会員にとって有益な情報が満載され常に身近に置いてくれるものです。それは次のステップの為の布石でもあります。全旅連の事業委員会は、もとはそしてインターネット実施委員会の部会として発生しその根本理念にインターネットの普及を考えています。たとえば事業委員会で販売する自主開発フロント会計ソフト「支配人君」(\45,000)にしても会員にパソコンを購入してもらいインターネット環境を整えることが狙いです。その環境が整えばホームページやE−MAILを活用して低コストで会員に情報を流すことが可能です。そうなれば会員や全国1500の単位組合との連携の取れた活動も行え組織力も強化されます。しいては宿泊業界の地位も向上します。勿論この事業そのものが特消税廃止後の全旅連や県及び単位組合の資金的な助けになることは言うまでもありません。

その12・・OCNエコノミーの有効利用・・その1

◎ 11月ついにNTTのインターネット常時接続サービス、ONCエコノミーのサービ スエリアに我が町、湯原町が入りました。県内では県庁所在地の岡山市、そして倉敷 市に続くものでNTT格別の配慮です。(役場や教育委員会などに導入を進言すると いう約束で・・)他に人口が格段に多い市や町等の地区をさしおいてのサービス開始 という粋な計らいに素直に喜んでいる今日この頃です。さっそく申し込みホテル内の 全パソコンをルーターで接続しお客様や従業員はては近所の旅館の若旦那まで無料で インターネットを楽しんでもらっています。この環境は、今までのダイヤルアップと は比べものにならないぐらい快適です。別世界と言えます。過疎の町にこそこの環境 は急がれます。身近に図書館もない専門書を置く大きな書店もない町でインターネッ トは、それに変わる重要な情報源です。しかし今まではそれすら1分30円掛かり都 市に比べて3倍の通信コストを支払って手に入れなければならない環境でした。私の 場合は、ホームページのメンテナンスのため特別長時間利用していたこともあり月5 万円〜8万円も電話代が掛かっていましたがこのOCNエコノミーの導入で月3万8 千円の固定料金で24時間ストレスなしで世界とつながる快適な環境が手に入ったの です。インターネット上のE−MAILも常時受信できリアルタイムで返信できます 。勿論、予約のメールもです。NTTさんありがとうございます。次回は、この環境 を利用した旅館の積極的な営業手法について提案します。

その14・・よっ、スグレ物!

全旅連のホームページ「宿ネット!」の中にある「新鮮!ピチピチ!宿情報」 ここを覗いていただくと話が早いのですが、私の全旅連青年部仲間の小井戸君のホームページはなかなかどうして やってくれるページです。ファミリー有、ビジネス有、ゴルフ有とバラエティ豊かですが、白眉はお色気のページ。小井戸君本人は虫も殺さぬようなかわいい顔をしてますが、このページははるばる福島県まででも行ってみたいとその気にさせるスグレ物!いやらしいんだけれどカラッとした軽いノリで目を釘付けにしてくれます。 こういう肩に力の入らないような作り方は大いに参考になりますよ。 料金設定を細かく表示しているところも目を引きます。お客様はチェックが厳しいものですからこういうところは特によく見ていますし、一番気になるところでしょう。 見出しに「プチホテル古林様もびっくり!」と書いてあったのは吃驚しましたが、中身を見てあらためてびっくりでした。同じ湯原温泉のさる旅館の悪友「宿六」と「今度一緒に行ってみよう。」と声を潜めながら奸計をめぐらせております。  さて、話は変わりますが「全旅連」の事業委員会が共同購買事業準備のための通信販売カタログ「宿願成就」を発行いたしました。もうぼつぼつ皆さんのお手元に届いている頃だと思いますが「中小旅館の経営を助けるような安くて良い品物を流通させたい」という考えからスタートしたもので、まだアイデア商品が半分以上ですけど、それ以上に旅館に必要な備品、厨房機器、食品などを今後ますます品揃えを充実させていきたいと考えています。なかなかいい商品がありますのでご活用を考えていただければ幸いですし、同業者の互助のためですのでご意見なども積極的に言っていただければよりよいものになっていくと思います。  今後は情報も物流も急速にネットワークの時代になっていくといくと思われます。みなさんもどんどん積極的に意見や情報を発信して商売に役立てていかれることを是非考えて見て下さい。

その15・・人に優しいパソコン!

インターネットとTVをドッキングさせた「テレビ」がある。パソコン嫌いな人でもテレビを見ながらインターネットが楽しめるという物だか、一時は、これが家庭のお茶の間を埋め付くのではないのだろうかと本気で思った。ところがなかなかそうならない。いろいろ理由が在るのだろう。パソコンはこの上なく多種の仕事をこなすものでありインターネットは、これからの重要な情報の入手や発信の手段では在ってもそれが統べてではないからだ。パソコンが10万そこらで買える今、窮屈な思いをしてインターネットとテレビをひっつける必要はあまりない。むしろこれからのパソコン(インターネット)に望まれる一つの方向として「シルバー世代向けパソコン」と言うのを本気で考えた方がいい。機能は、通信と入力方法(インターフェース)の簡略化に力を入れて欲しい。何故、私が突然こんな事を言い出したかというと6年前から「慢性多発性根神経炎」と言うややこしい病気に犯されており両手足にかなりの麻痺があり近年は、自由に使いこなしてきたパソコンのキーボードに触るのがおっくうな事が出てきた。ブラインドタッチ等という高尚なテクニックはもとより無いがそれでも人様に比べると早いほうだと自負していたが最近は、入力ミスが極端に多くなってきたのだ。私は、現在45歳だが、この病気のおかげで運動機能はシルバースターの方々の気分を実感できる。音声入力システム(こっちの方が早いか)とまで言わないでも今の倍程度の大型キーボードが在っても良い。現在の技術力からするとすぐに登場するだろうが、私のように過疎地の町に住んでいるとより急がれる気がする。

その16・・地域情報を共同で発信!

今、インターネット人口は、1000万人と言われます。(ホントかな?)ホームページの数も日々爆破的に増え続けている中で宿として多くの方に見て頂き集客に結びつくホームページを維持していくには努力が必要です。ホームページは、情報量に制限が無いに等しい広告媒体ですからその宿の特徴が現れるオリジナルの形で十分な情報発信が行えれば最高ですが、お客様に分かり易い形で宿の基本情報をきっちりと押さえたパンフレットのようなものでもそれはそれで良いのです。お客様は、情報が必要となった時に検索サーバーや「たび上手」など宿紹介のサイトから見つけて見ていただけます。しかし宿の情報だけでは、旅の情報としては不十分です。地域情報や周辺の観光情報、天気や交通アクセスなど多方面のリアルタイムの情報を結びつけて効果があるわけですが個人の旅館やホテルでそこまで取り組むには大変なエネルギー(費用または労力)が必要であり同じ地区でそれぞれ宿毎に行うのは無駄な事です。地域としてのホームページを作成し情報発信を行う必要があります。地方のお役所で行っているところもありますが、これ、まったく面白くないのです。やはり直接お客様に接している観光協会や旅館組合など観光関係者が行った方が少しは面白いでしょう。(公平、平等を考えていると必ずしもそのように行かない事がありますが・・)地方の観光関係団体や宿泊業関係団体のホームページには、先の情報を掲載するほかに、旅を提案するより積極的な姿勢でホームページを「運営する」必要があります。とかくパンフレットと同じ感覚で一度作ってしまえばそれでOKとなりがちですが、あくまでも日々情報を書き換える「運営」というスタンスで取り組まなければいけませんね!E-MAILを使ったお客様とのキャッチボールも行わなければ成りませんし、旅行専門誌の「るるぶ」や「まっぷる」みたいな感じも良いでしょう。この機能性は、まさしくニューメディアです。時には、遊び心も盛り込んで特集記事なんて言うのも良いですね。一見、旅とは関係ないファッションなどの情報が、旅への動機付けとも成り得ます。これからの夏企画、海水浴場の「水着ファッション」情報なんて・・おおっ素晴らしい!トランスネットさん「やど上手」でやってみませんか?なんなら全旅連の「宿ネット」でやっちゃおうかな?

その17・・夏商戦異常有り

○夏商戦異常有り・・ 7月に入り夏休みの空室状況は、例年ならお盆を中心におおよそ満室になっている筈が・・ガラガラ!我が社の場合、直受けのお客様が多いのでもともと発生が遅いのだが、それにしても異常な状態だ。7月の後半になってやっと部屋が埋まっていく。その殆どはインターネット予約。8月に入り直前の通常の電話予約が入りだしたものの8月16日で締めて見たところ、この時点での発生割合は、インターネット予約が7割を越えるという状態。(昨年の同時期では4割程度)お客様にしてみればこの不景気、少しでも安く家族旅行をする為に「ジャ○○」や「る○ぶ」等の旅行誌やエージェントなどいろんな媒体で宿を探したのだろうと推測される。電話での問い合わせも多いのだが、値段を聞いて「検討します。」と言ったきり後がない。どうやらインターネットで予約すれば割引が受けられると言う話が、お客様には、我々が思っている以上に広まっているようだ。現実にホームページを見て予約フォームに記入して送信する電子メール(E-mail)派と電話(フリーダイヤル)で予約してくる比率は、ほぼ4対6、電話派には、インターネット初心者が多いのだがこの電話派がこの夏、異常に多い。中間職のお父さんが家族に旅行をせがまれ宿を部下の手ほどきを受けながら探し、メールは、苦手なので電話で・・という絵が見えてくる。またお客様の客層もずいぶん幅広くなってきた。始めた頃の大学の研究室の方とか大手の企業のその筋(パソコンに明るい)からごく一般的な職業の方がここに来て俄然、多くなって来た。この調子で行けば、西暦2000年、インターネット人口が、1200万人を越えるという話、まんざら嘘でもないかも?ただし一般的になればなるほどトラブルの発生も多くなっているのも事実、当初まずなかったノーショウもこの夏、発生、直前のキャンセルも3件ほどあった。でもまあこれも対処方法を考えれば良いことなので、ここは素直にインターネットの底辺の拡大を喜ぶことにしましょう!

その18・・「宿ネット」繁盛記

(1998/10/01) 全旅連「宿ネット」、言わずと知れた全国旅館環境衛生同業組合連合会(加盟数2万7千軒)インターネット実施委員会のホームページ(http://www.yadonet.ne.jp)です。ご支援頂いているトランスネット社のホームページ「やど上手」と相互に番組情報をリンクしており、情報量は、他を俄然引き抜いて多い。5月のリニューアル以来、人気がうなぎ登りで9月30日現在で開設以来の延べアクセス数は、58万、最近の一日平均アクセス数は、3千以上と人気を博しています。一番人気は、「新鮮ピチピチ宿情報!」と言うコーナー。

このちょっとエッチっぽいネーミング故か、はたまた「やど上手」との相互リンクの為か?メニューページ以上(120%)にアクセスが有ります。このページの特徴は、リアルタイムで宿の情報を直接、旅館やホテルはたまた民宿やペンションの担当者が掲示板形式で書き込んでいる事にあり秋の「松茸食べ放題」宿泊企画とか「秋祭り情報」とか、まさに宿が発信する「新鮮ピチピチ!」の情報で溢れています。ジャンルや地域別等で宿を紹介するホームページは、検索サーバーで有名な「Yahoo」の全国版の温泉&宿泊情報を見るだけでも現在100サイト以上あります。各都道府県版の情報まで入れると恐らく1000サイトを越えるでしょう。

しかしその情報は、多くの場合、頑張ってるところでも年に1回程度のアンケートと宿のパンフレットから情報を得て更新している場合がほとんどで宿の自主運営のホームページでない限り「新鮮ピチピチ」とはいきません。多少「カビ臭い」情報となってもしかたないのです。基本的に文字情報に限られるとはいえハイパーテキスト(ホームページを書くための書式)など特別な知識を必要とせず宿のご主人が手軽に書き込めるこの「新鮮ピチピチ宿情報!」は、今後も人気が続きそうです。

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   ★☆★☆ 【面白情報局】 ★☆★☆

その1.
全旅連ホームページ「宿ネット」上で「私の見つけた素敵な宿」というテーマでレポートの募集をやってます。先日第一回目が締め切られ10月から第2回目が始まりました。前回と同じく優秀作品には全国の有名旅館の無料宿泊券を選んで頂戴できるというプレゼントや特産品テレカがもらえます。書くのが嫌いな人が多いのか応募数が俄然少ないので当選率が高そうです。暇つぶしにチャレンジしてみては如何でしょうか?URLは、http://www.yadonet.ne.jp

その2.
同じく「宿ネット」上の「宿のQ&A」に下記のような書き込みがあり、あまりに面白かったので転載します。

【お客様】Q:ホテルのタオルは、だいたいに大きくて厚く・・そしてそのまま置いてあるけど旅館のタオルは、ビニールの袋に入っている場合が多いのは、何故でしょう??またバスタオルの置いてない旅館も多いですね?あれって不便なんですが、どうしてでしょうか?
【某旅館オーナー】A:結論 入浴文化とH文化の違いです。
温泉に浸かっている時、バスタオルを頭に乗せられますか?
手ぬぐいは頭に乗せやすいサイズなのです。そして額の汗を手に取っ手ぬぐうから「手拭い」なのです。
また、女性が裸を見られた時、中国人は足を隠し、日本人は性器を隠し、フランス人は胸を隠すといわれます。そう「手拭い」は性器を隠すのに必要十分な大きさなのです。だから旅雑誌の写真の様にバスタオルを巻いて入浴する事は避けて下さい。お願いです。

一方バスタオルを巻いてシャワールームから出てきた女性が、男性の待つベットに近づき、ハラリとバスタオルを落として、全裸を見せるシーンがよく映画に登場します。これが、性器を「手拭い」で押さえた状態だと滑稽でしょう?布団の敷かれた和室には、ちょっと乱れた浴衣姿が似合うのです。昔 吉田拓朗とう歌手が「浴衣の君はすすきのかんざしー」と歌っていました。旅の宿は浴衣と窓辺に垂らす「手拭い」絵に成るのです。

その19・・明日を予感させる宿のネットワーク

全旅連インターネット実施委員会は、平成8年9月に全国からパソコンの得意な16名のメンバーが集められ組織されました。結成以来、インターネットというメディアの可能性を探る実験的活動を行い、現在その主たる活動は、自主運営のホームページ「宿ネット」と電子会議室とも言うべきメーリングリストの運営に行き着きました。
ホームページは、宿関係者及び消費者参加型の形式で宿関係者は、地域やその宿の「新鮮ピチピチ宿情報!」をいつでも書き込める仕様になっており、また一般の方からの各種のお問い合せや宿に対する疑問に委員がお答えしその的を得た回答は、非常に好評を博しています。現在アクセス数は、70万を越えており宿関係のホームページとしてはメジャーな物となっています。

 しかし特に注目すべきは、このホームページではなくてメーリングリストの運営です。メーリングリストとは、E-mailの同報配信で登録メンバー内からのメールが、同時にメンバー全員に配送されるシステムです。このメーリングリストには、現在、宿関係者、約600名が登録されており、日々2名〜10名の登録がありますから今年度中に1000名を越えさらに時間とともに拡大していくことでしょう。
このメーリングリストでは仕入れ価格や各種のカード手数料、エレベーターの管理料等と言った事や公営宿舎の問題、インターネットに関する事、トラブルへの対処方法、地域の活性化の問題等などあらゆる宿泊業の問題について話し合われており非常に活発です。また登録は、開放的で全旅連会員に限らずホテル・民宿・ペンションなど宿泊業に携わるものなら誰でもOKとなっており、メンバーも若手が中心で過去の蟠りもなく未来を信じる若者達です。

 私は、この宿のネットワークこそ官僚的で錆び付いた複数の「○○連」等といった組織を越え業界の発展を担う、まったく新しいスタイルの組織?に成長していくと予感しています。このネットワークは、明日の宿泊業界発展の起爆剤になりうるのです。

 反面、このネットワークは、従来、宿泊業を商売の相手(喰いもの)にしていたところにとっては、脅威になりますね。力の強いところが多いだけに邪魔が入るかも知れません。

   ★☆★☆ 【面白情報局】 ★☆★☆

その1.準備完了、TV電話での予約問い合わせ!
このインターネットコーナーでご一緒しているエムストーンの藤原氏のお世話でTV電話を試用する機会を得ました。ワールドPCエキスポ”98で会場の幕張メッセと私や岡山市の国際観光旅館「丸一」の山下さん、有馬温泉の陶泉「御所坊」の金井君そして東京新宿のホテル「たてしな」の柳沢君をNTTのTV会議システムで結んでTVの同時多次元放送よろしく会場の大画面に映しながら各地の観光とホテルを紹介するという試みでしたが、これなかなか面白かったです。まるでTVの生番組に出ているようで緊張感があり少々疲れますが、いい経験をさせて頂きました。その後もこのメンバー間での普段の通信にこのTV電話を使用しているのですが、最初に大勢に見ていただく経験をしているのでその癖が抜けず、サービス精神が旺盛な性もあってアクションが不必要に大きくなり、やたら疲れるのです。TV電話(フェニックスミニ)のベルが鳴ると「さあ、本番!」なんて気になります。TV電話に家庭用ビデオを接続してスイッチで入力画面を切り替え、話題の進行に合わせて露天風呂の可愛い女の子の入浴風景など流す・レストランでの食事風景を超アップで流す・お部屋の中を見せる・・終わればまた自分の顔のアップに戻す、小さなテレビ局でも運営している気分でけっこうノリノリで楽しんでます。近い未来、お客様からの問い合わせには、パソコンでビデオ画像(DVD)を制御し、話題に合わせた画像を観て頂きながら質問にお答えする、そんな自分の姿を想像しています。(実は、すでに対応できてます・・ただTV電話でのお客様からの問い合わせが、まったく無いだけです・・ハハッハ)

     TV電話専用番号:0867-62-7070(冷やかし歓迎!)

その2.公営宿泊施設撤廃運動等の陳情システム
全国旅館政治連盟の公営宿泊施設対策本部長の針谷さんのアイデアでE-mailのアドレスを持つ国会議員の先生方に一斉に陳情を行えるシステムが出来ました。所在は、全旅連「宿ネット」(http://www.yadonet.ne.jp)の会員のページにあります。以下は、開設に伴う針谷さんからのメッセージです。

「公営宿泊施設対策本部長の針谷です。小生のインターネットの師匠 古林さんが 公営問題を国会議員にメールで陳情や質問するシステムをつくってくれました。我々対策本部の希望を叶え、あっという小生が理想とするものを作ってくれました。公営宿泊施設は 官の天下り組織になっており、官自らが廃止したり、縮小したりすることはありません。 従って、我々の要望を叶えようとしたら 政治の力しか解決できないのです。政治は『要求なきところに施策なし』と言います。このシステムを使って、全国の公営宿泊施設が如何に民業を圧迫しているか。 員外利用の実体。 等々我々の切なる声を国政に届け、真の民主主義を確立しようではありませんか。
21世紀の日本が公平で活力有る国家になるため、この問題は試金石のような存在です。一人一人の力は大したことがなくとも、それが集まれば、大きな政治的影響力をもつようになります。一人一人が行動しなければ、声を上げていかなければ、この問題は解決しません。どうか積極的な参加を御願い致します。」

その20・・年の初めの命拾い& 言うことを聞く可愛いパソコン!

1999年最初の投稿というのに実は、この原稿、病院のベッドの上で書いています。 14日深夜に突然気分が悪くなり冷や汗が吹き出し、その後トイレで大量出血、遠のく意識の中で非常ベル(シルバースターで設置)を押し救急車で緊急入院、内視鏡検査により十二指腸からの出血が発見され、そのまま内視鏡手術で止血。その後は両腕から点滴と輸血を行い九死に一生をえました。輸血した血液の量は、2.4リットル。医者の話に寄れば、もう30分担ぎ込まれるのは遅ければ出血によるショック死、本当にあちらの世界に行っていたそうです。内視鏡手術というハイテク医術により間一髪で救われました。入院生活も十日を迎えましたが人様の生き血を頂いたおかげでグングン元気になり、病室にセミノートのパソコンを持ち込んで軽い仕事が出来るようにまでなりました。

さてこれからが今回の話の本題です。病室に持ち込んだパソコンは、いつもはモバイルに使用しているセミノートの小さなパソコン(Thinkpad535)です。長文の原稿の打ち込みや一日に何十通も来るEメールへの返信など、この小さなキーボードでは面倒くさく間に合わせで使用するならともかく、大量の文書を本格的に処理するにはパソコンの能力としては不足はないもののキーボードの大きさに問題がありとても使う気になりませんでした。ところがこの小さなパソコンが音声入力システムを備えたおかげで立派な仕事に役だつものになりました。IBMの開発したViaVoiceという音声入力システムのおかげでこの小さなパソコンが十分役に立っているのです。ヘッドホンとマイクがセットされたヘッドセットをかぶってパソコンに話しかけ命令する姿は、なかなかカッコ良くて看護婦さんにも好評です。昨年の12月にシステムをインストールし固有名詞の登録や「なまり」の調教もそこそこ済んでおり十分実用的に使えます。特にインターネットのチャットの時などはすごい威力を発揮しますね。音声入力の為に特別な話し方をする必要はありませんが、それなりの練習は多少必要です。この一連の登録や調教?そして練習といったパソコン相手の作業が、いかにも人間的で次第に賢くなってくるパソコンによく訓練されたワンちゃん等のペットに寄せるような愛情にも似たものを感じ始めてます。 私のように手の不自由な方、極端にキーボードの苦手な方、どうかお試しあれ、これ本当にお奨めします。

その21・・ドックイヤーの世界で2年も待たせるなんてあんまりだよ!

VAL21 先日、無事退院いたしました。もうしばらく自宅療養かな?・と思ったら、トラベルニュースから突然の電子メール、「いつも原稿ありがとうございます。お身体の具合はいかがですか?古林さんが愛情込めて調教されている(ちょっとエッチな方向を想像してしまいますが…)音声入力システム搭載のノート型パソコンのご機嫌はいかがでしょうか?さて、またまた原稿の締め切りの迫ってまいりました。まことに恐縮ですが、2月26日(金)までによろしくお願いいたします。トラベルニュース社 編集部」・・「身体は、ぼちぼちだし、IBMのシンクパットもいい子にしてるけど・・フムフム・・ひぇ〜〜!原稿締切が二十六日?」と言うことは今日から3日後、見舞いの言葉もそこそこに情け容赦ない原稿催促、もっとも入院中にも原稿を書かしたすごい会社だからなぁ・・恨みつらつらの枕文で原稿枚数を水増しして、ここから本文。  インターネット上で仕掛けた種が芽吹き、育ち始めるのに二年ぐらい掛かるみたいですね?二年前に仕掛けた種が今まさに花を咲かせ実を付けようとしています。  左手にフライパン、右手に受話器を持って頑張っている若旦那、配膳から接待、布団敷きまで一人で頑張っている女将さん、深夜、やっと仕事を終えて二人の時間、でもまだ帳面が残っている。小さな宿でも事務処理は、大規模旅館と大差ないのです。コンピューターを導入すればずいぶん楽になるのだけど大旅館と違って売り上げに対する相対的なコストが高くなかなか導入に踏み切れない。しかしコンピューターさえ導入すれば売り上げの集計や経理が楽になり、それに要していた日に数時間の貴重な自由な時間が生まれる。その時間をつかってインターネットも始められる。ホームページで宣伝してE−mailで予約を受け、仲間達の経営相談のネットワークにも参加できる。  パソコンや周辺機器は、ずいぶん安くなった、パッケージの財務会計ソフトも安くなった。後は旅館専用のフロント会計システムだけ、これを我々で安く開発すればパソコンの導入が一気に進みインターネットにも接続してくれるに違いない。全国の多くの仲間がネットワークでつながればあらゆる仕組みが変わる、業界が変わる。  そんな思いで二年前に蒔いた種でした。わずか四万五千円で発売した「支配人君シリーズのフロント会計システム」、ロジックの部分は私や全旅連の仲間達で出し合い、開発と販売は、上の理念を全て理解してくれた上で潟gランスネットがやってくれました。ところがこのソフト、あまりに安すぎて、月に2・3本、ポツポツ程度しか売れないのです。私としては、「何故この思いが通じないのだろうか?」って感じでこの2年間が過ぎていったのです。ところが、ここに来て爆発です。最近、警告されている西暦2000年問題でパソコンの買い換え需要が高まるにつれ次の「フロント会計システムは、どこのシステムにすれば良いのか?価格は?性能は?」と多くの方がインターネットのメーリングリスト上で相談したのです。当然安くて良いものが欲しい。そこにポツポツ出ていた支配人君シリーズのユーザーが「あれ超安いけど十分使えますよ!」とか、他メーカとの比較も交えながら情報があちこちから寄せられたのです。ホームページに取り付けるカレンダー型の空室情報&予約システムもどうやら同じ動きになってきました。※ドック・イヤーと言われるインターネットの世界で2年間は、とても長い時間でしたが報われました。 【インターネット面白辞典】 ※ドック・イヤー 1.犬の1年は、人にとって7年に当たると言う意味。 2.目まぐるしく変化し進歩するインターネットの世界における時間の経過を言い表す。3.インターネットの世界で1年間何も行動しないと言う事は、人生において7年間を無駄に過ごしたと同じ意味にだそうです。

その22・・積極的にメールニュースを

Val22
本当の情報発信は、E−mailの活用です。 宿の仲間達だけで開催されているメーリングリストが あるのですが、最近その中の話題でインターネットに よる予約がどの程度有るのかと言うことが、よく上が っています。磐梯熱海温泉 紅葉館「きらくや」さん (村田英夫 社長)のところではホームページへの訪問 者の5%が宿泊予約に結びついているそうです。 「とにかくホームページのアクセスを増やすことが集 客に結びつく」と頑張っていらっしゃいます。 ・・・と言うことで今回は、「ホームページの開設を いかに集客に結びつけるか?」を考えてみます。  とにかくアクセスを増やさなければ話になりません が、いかに見栄えの良いホームページや動画なども取 り入れ技術的に凝ったホームページを作っても更新に 力を入れないとリピートで繰り返し訪れる人は少ない ものです。またホームページは、あくまでも受動的な ものです。従来なら検索サーバーへの登録や宿ネット の「新鮮ピチピチ宿情報」への投稿が積極的な取り組 みとされていますが、より積極的な告知の方法として メールニュースという能動的な手法をお勧めします。  まず最初は何が何でもホームページにアクセスさせ ます。と同時にプレゼントなど企画を開催し電子メー ルで応募を受け付けます。そしてその応募された電子 メールからアドレスを抽出しデータベースに蓄積しま す。魅力的なプレゼント企画で有れば数ヶ月の内に何 万人もの情報が得られるはずです。情報発信は、その 応募者のアドレスに向けて電子メールによるダイレク トメールを送るのです。その内容は単に宿の紹介だけ でなく「桜が咲きました。」とか「お祭りのご案内」 等と言った、地域情報の盛り込んだ内容にするのです。 写真で紹介したい部分などはホームページ上に作成し ておきアクセスしてもらいます。これにより電子メー ルの文字だけの情報ではなくビジュアルでもアピール できるわけです。これに要する費用は、ホームページ を自分で作成できる方で有れば0円です。チラシの印 刷代も切手代も不要です。宛名を書く必要もなく一瞬 にして何万の人に告知する事が可能です。そしてアー ルも不要です。 集客倍増・・ご健闘をお祈りします。     合掌

その23・・1998年インターネット予約の分析

九十八年度の決算が終わり経営分析をすすめています。売上高で対前年度97%と減少。旅館からプチホテルに転身して11年、常に右肩上がりで頑張ってきた中で、3%とはいえ初めての減少に少々ショックを受けています。さてインターネットを利用した集客もこの春で4年目を迎えました。もうすっかり日常的なものとして受け入れています。  昨年のインターネット予約は、集客方法別の比率で30%と前年の35%に比べ5%程度減少しています。ただし平日の稼働率が高くなる時期、夏休み、春休み期間等では、50%程度と高い率を示します。集客数は、組数で380組、人数は、約1100名。予約の方法として「E−mail」と「ホームページを見て電話で予約」の比率は、6対4。「ホームページを見て電話で予約」が意外に多いのは、フリーダイヤルで受けている為と思われます。また直前予約が多いのも理由の一つです。年齢層で一番多いのは、30台の男性、次いで20代の女性です。旅行形態としては、カップル、女性グループ、家族連れの順で多く最近ではシルバーのカップルのお客様も増えてきました。平均の一人当たり消費額(税込み)は、14000円程度と他の媒体を見てお越し頂いたお客様より5000円程度低いのですがこれは、20%offなど割引率を大きくした平日のお客様が多いためとインターネットでの売り物にB&Bの低価格プランを提案していることによります。

インターネットでの情報発信には制限が無いと言うのが私の口癖で実際、私のホームページでは何もかもすべてを掲載しているのですが、これはかえってご覧頂く側にとっては混乱を起こすだけであり、宿泊プランなどの情報については、ある程度、割り切りと絞り込みが必要と最近、考えるようになってきました。インターネットを集客の方法として考える場合も同じでインターネットは特定の宿泊プランの集客に向ける等、割り切ることが必要かも知れません。その方が思い切った特典を出せるので消費者にとっても有益であり、今後のインターネットの宿予約をより普及させる事になると思います。

−−−−−−−−− 面白情報局 −−−−−−−−−−
ホームページ「ネット626」の人気ページの「今日の露天風呂、入浴風景」で奇しくも私は、ただのスケベ親父であるという証明をしてしまうことになりました。前号の「ナベちゃんが行く」で暴露されましたので開き直りです。

        http://www.net626.co.jp/new.htm  是非ご覧下さい。

その24・・・魔法使いの時代は、終わった。

日経新聞の分析に寄れば、現在、日本におけるインターネット人口は、1千4百万人と言うことです。1995年11月WINの幕開けと同時に実質的に始まったというのが私の見解です。以来、わずか3年半の出来事です。ビデオやFAXの普及と比べても目を見張るモノがあります。チョット前までパソコンやましてインターネットを自由に扱える人間は、現代の「魔法使い」でした。おとぎ話のように魔法使いの力次第で国(会社)の繁栄が決まったのです。魔法使いは、もちろん特別扱いされました。呪文(専門用語)を唱える魔法使いは、時には尊まれ、時には恐れられ(嫌われ)てきました。しかし今やその魔法を誰もが使う時代になったのです。魔法使いは、もはや普通の人になりました。インターネットも同じように今やTVや電話と同じレベルの使われ方です。(扱えない人は、火を知らない原始人?はたまた文字を知らない古代人か?・・言い過ぎです・・haha)  気まぐれで始めたインターネット。ホンの少し、人様より始めたのが早かったばかりに、このコーナーの執筆までしてしまいました。振り返れば世間知らずにも「言いたい放題」恥ずかしき事ばかりです。最後にもう少し言わせて頂きます。  インターネットの世界にも表と裏の世界があります。表が公開されたホームページなら裏は、E-mailの世界です。今、裏の世界ではメーリングリストと言うネットワークが拡大し力を増しています。地域と組織を越えてリアルタイムでの連係プレイが可能となったのです。すでに伝説となったエレベーターの保守料値下げやクレジットカードの料率引き下げ等コストダウンの連携、エージェント対策等々。また最近ではデビットシステムの導入事例など・・。活発に全国の生きた情報がネットワーク上で交わされます。 上意下達でなく広い裾野の現場間のやり取りは、血の通ったものです。今後、このメーリングリストというネットワークが業界の未来を切り開いていく予感がします。ご年輩の方が居座る組織という巨大なピラミッドでなく・・(^^;)  さて最後もまた誰かに睨まれるような事を書いてしまいましたが、これをもちまして私のインターネット「よもやま話」を終わらせて頂きます。長らくお付き合い下さりありがとう御座いました。新しい神通力を得るため暫くチベットの山の中でも隠ろうかと思います。チベットに混浴の露天風呂は、有るかしら?皆さんとはまたメーリングリストの世界でお会いしましょう。チベットから「今日の露天風呂入浴風景」のネット放送を楽しみにして下さい。ではでは・・・(^o^)/~~~~~~~

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