はやぶさは2003年5月、鹿児島・内之浦からM5ロケットで打ち上げられ、約20億キロ航行して05年にイトカワに到着した。その後、姿勢制御装置の故障や燃料漏れが相次ぎ、エンジンが設計寿命を超えるなど、帰還は何度も絶望視された。そのたびに解決策を見つけだし、予定から3年遅れ、往復で約60億キロの旅程を経ての帰還となった。38万キロ離れた月以外の天体との往復は世界初。はやぶさのイオンエンジンは省エネ型の新エンジンで打ち上げ直後からそのエンジンの重要な役割を持つ中和器の一部が不調を起こしていた。また燃料漏れや姿勢制御のクラスターの故障など数々のトラブルに遭いながらも中和器が働き無事帰還を果たした。
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「はやぶさ」快挙の陰に真庭の中和神社はやぶさの帰還を見守った中和神社のお札(JAXA提供)「はやぶさ」の帰還を祈り、プロジェクト責任者が参拝した中和神社快挙の陰に、真庭の神社の“御利益”―。 小惑星探査機「はやぶさ」担当チームの責任者は、地球に帰還できない危機に際し、重要部品と同じ文字を冠した中和(ちゅうか)神社(真庭市蒜山下和)を参拝、お札をはやぶさの管制室(神奈川県相模原市)にまつって成功を祈願していた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の広報部によると、参拝したのは昨年11月。はやぶさの電気推進式の「イオンエンジン」4台のうち3台が故障し、残る1台も寿命間近という最大のピンチに陥ったときだった。
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